解けない疑問
「なんで、マイ達を眠らせたんだろう?」
ふと、僕は疑問を口にする。もうみんな起きている。そして、何が起きたのか説明した。
まず僕に答えたのはオブだ。
「多分、邪魔されないようにじゃないですか? 妖精王は消えてしまったのでしょう。『アキュレート・ワールド』、僕は知らない魔法ですね。多分、それも妖精王のオリジナルだと思います。けど、僕はともかく、マイさんとピオンさんを眠らせるなんてさすが妖精王ですね」
「ちょっと待ってよ、この中じゃアタシが1番魔法防御高いのよ。なんでアタシはシカトなの?」
ミネアがオブに噛みつく。
「何言ってるんだ? ミネアは魔法じゃなく普通に寝てたじゃない」
ラパンが振り返ってツッコむ。脇見運転は止めて欲しいものだ。それにしても、ミネアはただ寝てただけなのか。相変わらず、役立たずだな。
「まあ、と言うことは、ノノは最初っから、さっきの魔法を使う気だったのか。それで、誰かノノが何をしたのか解らないのか?」
「僕には解らないですね。今周りで働いてる魔法は、この絨毯だけですし」
オブは肩をすくめる。
「アタシは寝てたから解る訳ないじゃん」
ごくつぶし妖精はもう黙ってて貰いたいものだ。
「僕も解らない。けど、さっきも言ったけど、なんらかの祝福だとは思うよ」
ラパンがまた振り返る。だから、脇見運転は止めて欲しい。墜落は勘弁だ。
「私は、魔法は専門外」
ピオンは目を瞑って腕を組んでいる。
マイが腕を組んで口を開く。考え込んでるのか不機嫌そうに眉を寄せている。皺になるから止めて欲しいものだ。
「まとめると、ノノがあたし達を眠らせて、魔法を使った。その魔法で何が起きたか解らない。そして消えたけど、消えた方法が解らない。言った言葉は大事なものを掴みとりなさい。正直、あたしには何がなんだか解らない。解らない事はどれだけ考えても解らないと思うわ。多分時間が経ったら見えてくると思うから、今は気にしないでやるべき事をやるしかないんじゃないかなー? 勘でしかないけど、ノノは無事だと思うよ」
マイは相好を崩す。やっぱりマイには笑顔が1番だ。
「そうだな。やれる事を精いっぱいやるだけだな。とりあえず、神竜王ゴルドランをぶっ飛ばす!」
四の五の考えていても埒があかない。ノノからは魔法と、それを補助するオーブを貰った。それは神竜王を倒すためだ。魔法の威力や効果をもっと吟味したいけど、時間が惜しいから1発勝負で行くしかないか。
1発勝負? なんか引っかかる。けど、それは言葉にならない。アキュレート・ワールドって魔法と1発勝負って言葉になんか関連があるような気がする。けど、解らない。
なんか釈然としないモヤモヤしたものが心に残ってはいるが、前に進んだらそれも晴れていく事だろう。1つだけ僕が確信しているのは、ノノは僕のために魔法を使ったということだ。
「もうじき、国境につくよ。みんな準備して」
ラパンの言葉で、僕たちは臨戦態勢を取り始めた。