表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

775/2100

 優しく最悪な魔法


「なぁ、お前はどんな魔法が使えるんだ?」


 心地よい絨毯の上、気を抜いたら僕も眠ってしまいそうだ。まあ、寝てもいいとは思うのだが、誰か1人はこの子豚、ノノを監視しとかないと、また何かしでかしそうだ。それで何となくノノに話しかけた。


「いろいろよ」


「いろいろじゃ訳分かんねーよ。具体的に教えてくれないか」


「まあ、そうね、1番得意な魔法が『暴食者グラトニー』ね」


「それって、オブを太らせた魔法だろ、俺が知ってる限りでは聞いた事無い魔法だな」


「それはそうよ、あたしが生み出したオリジナルの魔法だから」


 ん、生み出した? それって凄い事じゃないのか?


「なんで、そんな魔法生み出したんだ?」


「そうね、もともとは、魔法を使って食べ物を作ろうとしてたのよ。けど、それはまだ上手くいかないわ。多分何かの因子がまだ足りてないわ。ねぇ、なんでこの世界では争いが絶えないと思う?」


 なんだ、唐突に。ノノが遠い目をして僕を見る。僕を見ているが、その目が見ているのは僕では無いようだ。なんだかな、ここは真面目に答えないと。


「色々あると思うけど、正直俺には解らないな」


「食べ物よ、食べ物が足りてないから、みんな争うと思うの。それが全てとは言わないけど、魔法で食べ物を生み出して、この世に飢えが無くなったなら、争いはかなり減ると思うの。毎日美味しいものでお腹いっぱいな幸せな気分になったら、争いなんて馬鹿げたものは無くなると思うわ。少なくとも、あたしは戦ってるより美味しいもの食べてる方がいいわ。ザップ、だからお前はあたしに美味しいものを沢山食べさせるのよ」


 そう言うと、ノノは僕に向かって輝くような笑顔を向ける。まるで、パッと花が咲いたような感じだ。僕は思わず、その不意打ちに少しドキッとしてしまう。よくよく見ると、ぽっちゃりに目がいってしまうが、ノノはかなり可愛い。さすがエルフと言った所か。太ってるのが残念だ。


「あたしの『暴食者』は、対象者に栄養を与える事はできるけど、とっても魔法効率が悪いのよ、簡単に言うとMP消費が高すぎるの。それがなければ、もっと沢山の人を幸せにする事ができるのに……」


 ん、その魔法で幸せ? それってぽっちゃりを大量生産する事か? 


「あたしの夢は、みんなが幸せでふくよかになる世界。いつか叶えてみたいわ」


 こ、こいつはやはり、危険だ。この世がぽっちゃりばっかになったら、僕は正気で居られる自身がない。ついつい太ったマイやアンを想像する。じ、地獄だ……


「他には何か使えないのか? お前は何か『世界魔法』は使えないのか?」


 無理矢理話を逸らす事にした。もうぽっちゃりの話はお腹いっぱいだ。


「あ、忘れてたわ。『精密な世界アキュレート・ワールド』」


 ノノの体が光り輝く。なにっ、コイツ、いきなりぶっ放しやがった。そして、光が僕を包み込む。光を収納に入れようとするが、全く効果がない。クソッ、コイツを甘く見過ぎていた。


 そして、辺りは白い光に包み込まれた。


 

読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ