地上へ
「ザップ、目的地は神竜王がいる国境付近でいい?」
ラパンが僕に問いかける。僕たちは今、魔法の絨毯に乗り込んでいる。よく考えたら塔を登る時もそうすればよかったんだが、ノノが言うには今までは塔にあった魔道具で塔のそばではノノ以外は魔法的なものは一切使えなかったそうだ。だからミネアは人間スタイルで歩いていたんだな。いつもはブンブン飛んでいるのに。
神竜王組から一切連絡がないから、早く向かいたい所だけど、正直我慢出来ない。出来ればひとっぷろ浴びたい。お尻と変な所が粗塩を揉まれてビリビリする。ノノも同じ苦しみを味わってるみたいで、口にはしないけどモジモジしている。
「早く向かいたいところだが、さっき腰まで塩につかったおかげで気持ち悪いんだ。塩がまだとれてないみたいでな」
僕は配慮できる大人だ。しっかりオブラートに包んだ説明が出来たと思う。
「そうなのよ、『ピー』と『ピー』がジガジガしてかなわないわ」
ノノには配慮もへったくれもないな。コイツ僕より年上じゃないのか? お年頃の女の子の中で品の無い爆弾発言は止めて欲しい。
「ザップ、この生き物、絨毯から落とそうか?」
マイが光を失った目で僕を見る。
「そ、そうだな。さあ、オーク、絨毯から降りて森に帰るんだ」
「え、何よ何、あたしがどうかしたの? ただ今の状況を口にしただけでしょ? それにオークじゃないわハイエルフよ」
「おい、ピオン、コイツにうちのルールを教えてやれ」
ノノはピオンに絨毯の端に引きずられていく。マイが冷たい目でそれを見ている。今回はなんとか許してあげるみたいだな。
そして、地上に降りて一端ザップハウスを出す事にして塔に沿って降りていく。
「おーい、待ってくれ!」
塔の外壁をゼハゼハ言いながら、登っているぽっちゃり少年。あ、オブの事全く忘れてたな。やっぱり無傷で生き残っている。そういえば、思いおこすと、コイツ、セクハラしただけで何もしてないな。このままここに放流した方がいいんじゃ?
けど、優しいラパンはオブを回収する。
「いや、ミネアさんやり過ぎでしょ。僕、もう少しで、本体同様ノシイカになるところでしたよ」
「これに懲りたら、ここではエロ系の事は控える事ね。アタシじゃなくマイにそんな事したら、アンタ五体満足じゃいられなかったわよ」
こっちの非常識人はミネアが教育してくれるみたいだな。
そして、僕たちは地上に降り、一旦ザップハウスを出して、ジャンケンに勝ったので、僕、ノノの順番でお風呂に入った。ノノは久しぶりの温泉らしく、かなり上機嫌だった。そうして、望まざるにも関わらず、新たな同居人が誕生した。
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