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 太古の世界(プリミティブ・ワールド)


太古の世界プリミティブ・ワールド


 溢れて出た白く力強い、いや御しきれないくらいの暴虐的な魔力の奔流は、眩く光り輝きながら辺り一帯を包み込んでいく。


『上手くいったみたいね。これで、ゴルドランをかなり弱体化できるんじゃないかしら。【太古の世界プリミティブ・ワールド】、太古の昔、私たちは何も持っていなかった。頼るものは自身の力のみ。その太古の状態を顕現させる、絶対的な力を持った魔法よ』


 頭の中にノノの声がする。そうか、終わったんだな。僕は耐え抜いたんだな。正直、何度も何度も心が折れそうになった。後少し同じ事を繰り返していたら、心が壊れてしまったかもしれない。

 よくよく考えてみる。ノノは大層な事を言ってるが、要はこの魔法は、効果範囲のものの生き物以外は全て分解されて生まれたまんまの姿になるというゲスの極みなものなんだよな。もしかしたら神竜王の鉄壁の防御にも効果あるかもしれないが、なんて理不尽で使い勝手が悪い魔法なんだ。暴発させようものなら、女の子からフルボッコ確定だ。


『え、ナニコレ、うそっ。魔法がアストラル世界を呑み込んでいく。ザップ、何してんのよ、早く止めなさいよ、あんたの魔法でしょ!』


 頭の中にノノの焦った声が聞こえる。光はどんどん膨れ上がっていく。けど、そんな事言われてもどうしようもないな。僕は魔法に関しては素人同然だからどうしていいのか解らない。


『あんた、覚えてなさいよ! あとでとっちめてやるわ! キャアアアーーーッ!』


 ノノの叫びが聞こえる。とっちめてやるって久しぶりに聞いた事がある。ノノもドラゴンの知人だけあって言葉が古いな。そんな事を考えていたら、光が弾け辺りの景色を呑み込んでいく。当然僕は安定の全裸だ。もう何度も脱ぎすぎて何の感慨も無い。パッと景色が変わり、僕は元いた部屋でオーブに手を触れている。けど、部屋にあったガラクタも含めて全ての物が真っ白で白く光っている。


「ああっ、あたしの大事な魔道具たちがーっ!」


 ノノの絶叫に振り返ると、彼女も光に包まれている。道連れ確定だ。そう思ったのは一瞬、足場が崩れて落下する。けど、魔法の反動か体も頭も上手く働かない。重力に任せて落ちていく。収納のポータルを出すが一瞬にして白い粉になる。


 ズシャッ!


 砂のようなものの中に落ちて体が埋まる。よかったいいクッションになったみたいだ。


「ギャウッ!」


 猫が尻尾を踏まれたような声をだして、僕の後ろになんか落ちてくる。多分ノノだろう。そして光が晴れていく。強い風が吹いて白い粉が舞う。僕は塔のさっきの下の階にいるみたいで、腰まで白い粉に埋まっていて、辺りを見渡すと、綺麗に丸く削られたかのように塔がえぐられていて、僕を中心にすり鉢状になった底に白い粉が溜まっていて、後ろには小さなぷりぷりした足が突き出ている。あ、ノノ頭から突っ込んだんだな。鈍くさい奴だな。



 

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