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 最悪の祝福


「何だ? 何をしやがった?」


 僕たちは子豚のような生き物から距離をとる。魔法、魔法なのは解る。けど、どういう効能なのか?


「グゴー、グゴー」


 オブは子供にしては激しいイビキを放ちながら眠りこけている。


「『暴食者グラトニー』よ。身の回りにある魔力を集めて栄養にする聖なる祝福よ。そいつは満腹になって幸せを感じながら寝ているだけよ」


 子豚は事も無げにテーブルにつく。と言う事はオブはただ寝ているだけなのか? それなら問題は無いと思うが、どこが祝福なのだろうか? 悪質な呪いにしか見えない。オブだったから良かったが、ピオンが食らったらどうなってたかと思うとゾッとする。


「さっきの食べ物まだないのかしら。とっても美味しかったから食べてあげてもいいわ」


 子豚はそう言うと椅子にふんぞり返る。体型にばかり目がいって今気付いたが、その耳は長く尖っている。オークにしては耳が長いし、豚鼻じゃないし、毛も生えてない。こいつは何者なんだ? オブは妖精王と言ってたけど、アイツ幸せそうに寝てるし、王って言ってる割にはコイツは女だよな?


「あたしはずっとここにいて、食事はさっきの魔法でしのいでたから、久しぶりの食べ物で機嫌がいいわ。はやく出しなさいよ。そしたらさっき襲いかかってきた事は大目に見てあげるわ」


 まあ、先に襲いかかってきたのはあっちのような気もするが、敢えて争う事も無いな。


「マイ、なんか食べ物を出してやれ。あとお前は争う気は無いんだな?」


「しつこいわね、あんたもぽっちゃりになりたいの?」


「それは遠慮しとくよ」


 僕は恐る恐るテーブルにつく。ぽっちゃりは嫌なので、警戒は解かない。


「よかったら好きなだけ食べて。遠慮は要らないわ」


 マイが収納から器を出してその上にサンドイッチをドカ盛りする。


「いただきます」


 子豚は手を合わせると、怒濤のようにサンドイッチをかっ込み始めた。


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「俺の名前はザップ・グッドフェロー。お前の名前は?」


 子豚が食べ終わるのを見計らって話しかける。猫でも犬でも食べてる時に話しかけるのはNGだからな。ちなみに他のみんなも子豚の健啖っぷりを椅子に座って眺めていた。


「あたしの名前はノノ。この塔の主にして守護者で魔道の深淵を探求する者よ」


 マイとラパン、ピオンとミネアも自己紹介する。けど、ぽっちゃりになる魔法を見たあとなのでみんなぎこちない。まあ、女の子にとっては死活問題だしな。


「ちなみにノノさんって、耳がエルフみたいですけど、エルフなのですか?」


 マイが恐る恐る聞く。


「エルフじゃないわ。ハイエルフよ」


「ハイオークの間違いじゃないか?」


 いかんつい突っ込んでしまった……


「失礼な奴ね。さっきも言ったじゃない。ここには食べ物が無いのよ。生きてくためにはさっきの魔法に頼るしかなかったのよ」


 やれやれ的な返しですんだ。お腹いっぱいになって機嫌がいいのだろう。危ない危ない。


「スマンスマン。それで、お前何しに来たんだ?」


「あんた達が美味しそうなもの食べてたからよ」


 温泉に釣られたオブといい、食い物に釣られたコイツといい、なんだかなあ。塔に乗り込んでやるって意気込んでたのに拍子抜けだ。


「あんた達こそ何しに来たの」


 僕は今までの経緯を話す。子豚改めノノは大人しく聞いていた。


「そう、ゴルドランが暴れてるのね。相変わらずしょうもない奴ね」


「俺はアイツをぶっ飛ばしたいんだが、何か良い方法を知らないか?」


「知ってるけど、ただでは力は貸せないわ。そうね、何して貰おうかしら」


 ノノは蠱惑的な微笑みで僕を見る。よく見るととても整った顔立ちだ。痩せたらかなりの美少女なのでは?



 エッセイ投稿しました。ランクインしてて嬉しいです。下のリンクから入れます。また病院系ネタです。


題名は『逆流性食道炎というもので病院に行きました。これって生活習慣から引き起こされるみたいですね。皆様も気をつけて下さい』です。


   https://ncode.syosetu.com/n5332hn/



 あと、読んでいただきありがとうございます。


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