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 邪悪

 沢山の『いいね』ありがとうございます。


「まあ、当然の結果ね」


 マイは何も無いかのように結界を行き来する。良かった。もしこれでマイが引っかかったら、清廉な態度とは裏腹に実はえげつない事考えてるという認識になった事だろう。要はムッツリ邪悪だ。


「僕も大丈夫みたいだね。冒険者なんてしてるからもしかしたらと思ったけど」


 ラパンも合格だ。コイツが純粋なのは僕が1番良くしっている。


「私の番だな」


 ピオンは結界の中に入り、振り返って腰の小刀に手を当てる。


 キィン!


 固いものを斬りつけたような音がする。ピオンは刀を抜き収めている。ピオンの居合いは結界に阻まれたみたいだ。


「私は闇に生きるもの。当然の結果」


「次はアタシね」


 ミネアはパタパタと結界の中に入り、振り返って飛んでくる。


「へぶしっ!」


 当然、結界に阻まれる。


「ナニよコレーッ! ぶっ壊れてんじゃないの?」


 ミネアはぷんぷんしてるけど、結界のジャッジの信憑性が増した。


「僕が邪悪な訳ないだろ」


 おかしな事に、オブは事も無げに結界を出入りしている。もしかして、ミネアが言ったとおり、この結界って壊れてるんじゃ?


「アンタ、その手にもってるのナニよ? 見せなさいよ」


 いつの間にかオブが握りしめていたものをミネアが強奪する。見せなさいって言った時には奪ってる所が凄い。なんか紙切れみたいだ。


「え、『通行許可証』? オブなにインチキしてるのよ。焼却!」


 ミネアは即座にその紙切れを魔法で燃やし尽くす。


「あー、何してやがんだよ。クソ妖精が! ぼ、僕の通行許可証……どうしてくれる出られなくなったじゃないかよ」


 オブは結界をドンドン叩いている。やっぱりオブは邪悪だよな。結界は問題ないみたいだな。


「ミネア、その通行許可証ってあったらみんな使えたんじゃないの?」


 マイが尋ねる。僕もそう思った。


「無理よ、オブシワン専用って書いてあったわ」


 そうか、ゴミクズだったのか。


 最後に僕の番だ。結界内では、オブとミネアが僕においでおいでしている。その横ではピオンが軽く口の端を上げている。お前はこっち側だと言わんばかりに。結界の外ではマイとラパンが心配そうに僕を見ている。多分僕の清き心を信じてくれてるのだろう。


 意を決して結界の中に入る。軽く頭痛がするがすぐに収まる。雨が急に降る前のような感じだ。僕はこの場でクルリとターンする。そして悠々と歩を進める。


 ゴツン!


 鈍い音がして僕は何かにぶち当たる。そんな馬鹿な、僕がオブやミネアと同類? そんな事があってたまるか!


「やっぱり、お前はこっち側だ。お前は闇を選んだんだ」


 オブがなんか昔聞いたようなセリフを吐く。


「舐めるなっ!」


 僕は結界に向かって全力で体を押し付ける。


「ププッ、ザップ、ぶっさいく。ガラスに顔押し付けてるみたいだよ」


 ラパンが失笑してる。そんなにおもろい顔してるのか?


「無理っ。ザップ、豚鼻になってるわよ」


 マイは僕から顔を背ける。負けてたまるか!


「ウオオオオオオオオオーッ!」


 魂の叫びを上げ、更に力を入れる。そうだ、僕は最強の荷物持ち「ザップ・グッドフェロー」だ!


 ぐりぐりっ!


 おっ、なんとか額が抜けた。そこから押し込むようにして全身を捻じ込んでいく。


「プッファーッ」


 なんとか結界をくぐり抜ける事が出来た。良かった、僕は邪悪じゃない。オブたち側でなく、マイ側なんだ!


「マジか、力で結界をこじ開けやがった!」


 オブの口は開いている。


「違う! 俺の清き心を結界が認めたんだ」


「けど、これって、多分、限りなく邪悪に近いってことじゃないの」


 マイは僕に背を向けて、まだ肩が笑っている。失礼だな……

読んでいただきありがとうございます。


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