表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/2097

第七十五話 荷物持ち誘導する


「こっちに来やがれ!」


 たまにそんな事など言いながら、ドラゴンのアンをハンマーで撫でる。撫でるといっても派手に音はたててはいる。

 それを見た人々が蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。特に城の方に逃げる人が多い。避難するなら城のそばが安全だと思うからだろう。けど、これは好機だ、『ゴールデンウインド』の連中の足止めになるだろう。


 少しわざとらしいかもしれないが、他の人が見たら、僕がドラゴンと戦って、怒ったドラゴンが追っかけてるように見えてくれるはずだ。いや、見えていると信じたい。それで押し切る。平和な未来のために!


 たまには転倒などしてリアリティを追求しながら、僕たちは城から出て大通りを南下していく。


「グゥオオオオオオオオーン」


 アンが咆哮を上げる。恐慌効果のない、鑑賞用のやつだ。『ドラゴン、ここにいますよ』、僕にはそう言ってるように感じる。


 それを見て聞いて、人々が叫びながら逃げ去っていく。アン、いい仕事だ。頑張れ!


「南大門に誘導する。道を空けろ!」


 逃げ惑う人々に大声で伝える。人々に危害を加えない、器物を破損しないように気を付けながら、少しづつ南下していく。


 程なくして、南を見ると道から露店や人々がいなくなってた。準備完了だ。


「おい! ドラゴン! こっちにきやがれ」


 僕は南大門に向かって駆け出す。


 ドッ! ドッ! ドッ! ドッ!


 ドラゴンのアンがそれを追いかけてくる。僕たちは全力疾走する。そして門に差し掛かり、僕は道を譲る。


 ガゴーン!


 ドラゴンのアンは扉に体当たりする。助走十分で、門の蝶番部分が壊れて扉は前に倒れる。修理代の事が一瞬頭によぎるが、不可抗力だ。僕には請求は来ないはずだ。そして、そのままドラゴンは走り抜ける。僕はそれを追っかけて行く。


 少し走って振り返りそばに人がいないのを確認する。


「おい! あそこの山まで走る」


 大声でアンに伝える。人に見られないために、大事を取って、結構遠くの山の裏で変身させる事にする。


 汗だくになって走る。ドラゴンを引き連れて。僕は今何をしているのだろう。ふと、冷静に考えてしまう。

 何というか、不毛だ。脇腹が痛い。長距離走は自分との戦いだ。折れそうになる心を鼓舞して、走る、走る、走る、何で?

 そういえば何でこんなに苦しんで走っているのだろう、僕?

 走らなくても、アンに遠くで変身してこいって言えばいいじゃないか。


 僕は立ち止まる。ドラゴンのアンも止まる。


「おい、山の裏で変身して戻ってこい、ここで寝てるから」


 アンは首を縦に振り、地響きをたてながら駆けて行った。


 僕は横になり、大地に両手両足を投げ出す。


 疲れた……


 とりあえず、寝る……



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ご主人様、ご主人様、戻りました。起きて下さいよ」 


 アンの声で目が覚める。


「ゲゲッ! 何してる!」


 変な叫びが漏れてしまう。


 全裸の美少女だ!


 目の前には角の生えた全裸の美少女が立っていた。


 アンだ、胸とお股は手で隠してはいる。


 何してるんだこいつ???


みやびからのお願いです。


「面白かった!」「続きが気になる!」などと思っていただけたら、


広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、


ブックマークの登録お願いします。


 執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ