入浴
「ああああーっ。しみるうぅぅぅうーっ」
浴槽に浸かるとつい、声が染み出してしまった。体の疲れも染み出してるみたいだ。
迷宮の中にザップハウスを出して、まずは入浴する事になった。マイが言うには家の中が汚れたら掃除が大変だからだそうだ。まあ、当然だな。僕は外で待機して、準備が終わったらスマホで呼んで貰う事になった。マイたちは、まずは裸で体を綺麗に洗ってから、そのあと水着を着て僕を呼ぶそうだ。別に女の子たちが上がった後に入るって言ったんだが、みんな僕と一緒に入りたいそうだ。なんだかなぁ……
そして呼ばれて、僕も水着で体を洗って浴槽に浸かった。
マイは白いビキニ。微妙に布面積が少ないような? けど、チキンな僕はチラ見しか出来ない。ラパンは赤いツーピースで肩紐が無い奴、確かバンドゥ水着ってやつか? ピオンは黒いワンピース水着だ。あと、人間に化けたミネアは紺色のワンピースで、白い四角い布がついている。まさか、まだ寒い時期なのに水着の女の子に囲まれる事になるとは。
「ザップ、何故かマイにビキニ禁止って言われた」
ピオンがお湯をかき分けてやって来る。駄目だ。見ちゃ駄目だ。
「そりゃ、そうだよ。ピオン、胸デカいから、ザップには刺激が強すぎる。と言っても、ザップは僕の裸見まくったんだよねー」
ラパンが紛らわしい事を言う。見たもなにも、昔、僕とラパンは同化してたからしゃーないじゃないか。
「ラパン、ザップの事はほぼ何でもしってるのよね? ちなみにザップって、胸は大きいのと小さいのどっちがより好みなの?」
マイにしては、セクシャルな発言だ。いつもはそういう話には弱いからしないのに。
「それは……」
「ラパン、止めろ……」
「お邪魔しまーす!」
僕がラパンの言葉を止めようと思ったら脱衣所の方から、女の子のような声が。ナイス。けど、誰だ? 扉を開けて入って来たのは、浅黒い肌の目つきが悪い少年。なんと、赤いふんどし一丁だ。いつの時代の人間だ……
「なんだ、オブか。まあいいが、しっかり体洗ってから入ってこいよ」
オブには言いたい事もあるし、正直懲らしめてやりたいところだが、ここは温泉。聖域だ。ここでは争いは禁止だ。
みんなの注目を浴びながら、オブ君は全身をしっかり石鹸で洗い流して浴槽に入ってくる。以外にしっかりさんだ。
「アンタ、どういうつもり? アタシ達をぶっ殺すつもりなの? 言葉によってはギッチョンギッチョンに叩きのめしてあげるわ! ザップが!」
ミネアが相変わらずなヘタレ発言をしながらオブ君に近づく。
「妖精ミネアさんだね。中々いい形の胸だったね。ありがとう。ピオンさんの大っきなのも良かったし、ラパンさんの小降りも嫌いじゃない。けど、個人的にはマイさんのが1番良かったと思うよ。みんなありがとう」
ん、どういう事だ?
「オブ君、何の話をしてるのかな?」
ラパンがジロリとオブを見る。すこし剣吞だ。
「え、コントロールルームで見てただけだよ。みんなが体洗ってるのを」
「え、見られるの?」
マイが尋ねる。
「当然、僕の迷宮だから。因みに画像とってあるよ。ザップ、買う?」
「エロ餓鬼、画像を消せ!」
ピオンが殺気を放ってにじり寄る。
「え、もしかして怒ってるの? ここは僕の迷宮だよ。人ん家の中で勝手に裸になる方が悪いだろ?」
「問答無用! みんなやっちまいなさい!」
マイの大号令で、オブ君に女の子が群がる。聖域だけど、これは止むなしだな。なんか少し羨ましいと思ってしまった僕もいる。