魔道都市アウフの城壁
僕の身の丈の3倍以上はありそうな、光沢のあるエメラルドグリーンの城壁が日の光を照り返している。その奥には先の尖った建物や円筒計の建物が見える。その景色はとても幻想的で、まるで絵本の中にでも迷いこんだみたいだ。その城壁にある、装飾過多な通用門には、いつも通り武装してない人々が列を成している。
「ラパン、なんであの城壁ってあんななんだ?」
前を歩くラパンに声をかける。
「ん、そっかー、あんまり知られてないんだね。あの城壁自体が、太陽の光を吸いこんで魔力に変換する魔道具で、その変換された魔力で、有事の際にはドーム型の結界で街を覆えるようになってるんだよ。とは行っても、アウフ建国以来、1度も使われた事は無くて、あまった魔力は街中の夜の街灯に使われているんだけどね。それと、アウフの街は完全な円形をしてて、巨大な魔方陣になっていて外壁自体がその外縁で、道で六芒星を描いていて街中で魔法が使えない封印結界になってるんだ」
街自体が魔方陣。なんてロマンな街なんだ。出来ればいつか上空から街を眺めてみたいものだ。街全体で許可された者以外魔法が使えないのにはそういうカラクリがあったのか。
僕は仲間たちを見渡す。たしか、ここに前に来た時は夏で、マイとアンが魔法の服を着てきてて、それが街の封印で消えそうになって、あわや公開ストリップになりそうだったのを思い出す。さすがに今回はそういう事は無さそうだ。
僕たちは、行列の隣をスタスタ歩いて行く。僕たち自身がこの街に貢献した事と、それ以前にラパンはこの国のお姫様だから顔パスで門を通れる。
行列の人たちからどよめきが起きる。まあ、それはそうだろう。僕たちは黒竜王オブシワンを封印した英雄として少しは顔が売れているのかも知れない。
「ザップ、キモいどや顔してるけど、なんか勘違いしてない?」
妖精ミネアが僕の横をブンブン飛ぶ。勘違い? 何の事だ?
「アタシが回りの会話を拾ったげるから、耳かっぽじってよく聴きなさい! 地獄耳の魔法っ!」
ミネアから放たれた光が僕に降り注ぐ。
『おお、妖精、初めて見た。可愛いなぁ……』
『猫耳、猫耳だ。しかも、めっちゃ可愛い』
『銀髪に赤い目、もしかしてラファ姫様?』
『うわ、忍者だ忍者。まじ存在するんだ』
ミネアの魔法で、辺りの言葉が耳に届くが、ほぼほぼ、マイとミネアとラパンを讃える言葉だ。なんだと……
『それにしても、あの男』
お、やっと僕の事か?
『冴えない顔してるな。多分従者かなんかだな。それか荷物持ちで雇われてんだろな』
のおおおーっ。
確かに荷物持ちは間違ってないが、悲しいかな、ミネアが言うとおり自意識過剰だったみたいだ。なんか顔が熱くなる。やべ、多分顔が真っ赤だ。やっぱりハンマーと腰巻きのスタイルじゃないと僕って認識されないのか。僕の本体は腰巻きなのか? しかもこきたなく、何の素材かも分からない腰巻きだ。
少しショックを受けながら、門をくぐって行った。
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