帰還
『それはこの世界に住む者たちが選ぶべき事。貴方がいえ、貴方たちが望むように……』
銀竜王アダマックスの最後の言葉を噛み締めながら、僕たちは帰途についた。
バーベキューセットを片付けて、スケルトンたちに別れを告げ、元来た道を上へ上へと登っていく。ちなみに、いつの間にかテーブルの上に封印した封筒が置いてあった。
『紹介状♡』
表紙にはデカデカとそう書いてあり、最後のでっかいハートマークに少しイラッとする。けど、アダマックスが紹介状を書く所を見てないので、あらかじめ用意していたモノと思われる。僕が来る事がわかった時には黒竜王を紹介するって決めてたんだとな。その紹介状は大事に収納にしまった。正直、争いの火種になる火薬のような言葉が書いてあるような気しかしないけど、さすがに女性の書いた手紙を開けるのはばかられるので、中身を見るのは諦めた。
通り道の魔物はほぼ殲滅しながら来たので、帰りはスムーズだった。深層、中層、低ランクの冒険者がうろうろしている浅層を抜けて地上に戻る。
多分今回の帰還時間は今までで最速ではないだろうか。迷宮に入った時は燦々と太陽が輝いていたが、入り口から出ると星月夜。
という事は迷宮では、休息はほぼ取ってないから、もしかして、一日以内に地下50層まで、往復したのか? その非現実的な事実に驚愕する。僕たち頑張り過ぎだろ。
迷宮から王都に向かう街道の脇にザップハウスを出して休む事にする。軽くご飯を食べて、順番にお風呂に入り、就寝する事にする。みんな疲れているのか余り会話も無い。まあ、アダマックスの事もあるしな。
そして、寝る前に今までの事と、これからの事を整理してみる事にした。
まずは、アダマックスに貰った大量の壊れない鱗と、強化されたハンマーで、神竜王にダメージは与えられそうな気はする。けど、前に殴った時の事を鑑みると、あいつを倒せる決定打にはならないように思える。あと1つ何らかの因子がないと、今度こそはコテンパンにやられちまいそうに思える。
という訳で、気が進まないが、黒竜王オブシワンとコンタクトを取るしかないか。奴の存在は正直僕にとってはトラウマだ。けど、紹介状ももらった事だし、行くしかないか。
それなら、行くメンバーも増やした方がいいな。回復に元大神官のシャリー、ラパンと妖精ミネアもいた方がいいだろう。それに、斥候系のスキルを持つ者、デルか忍者ピオンだな。とりあえず、一端知り合いを集めた方が良さそうだな。よりいいアイデアが出てくるかもしれない。
そして、疲れのせいか、いつの間にか僕は深く眠り込んでいた。
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