トラウマ
「とは言っても、オブシワンは俺が埋めたぞ」
黒竜王オブシワンは間違いなく潰して地中深くに埋めたはずだ。前に黒竜王と戦った事を思い出す。倒しても倒しても再生するその気色悪さ、必中の石化の呪い。思い出すだけで鳥肌が立つ。できれば二度と会いたくは無い。完全にトラウマになっている。
「何言ってるのよ、オブはまた一生懸命迷宮作ってるわよ、貴方たちそんな事も知らないの? とりあえず、オブを埋めた所に行ってみたらいいわ。話くらい出来ると思うから。私とオブは一応知り合いだから紹介状あったら話くらい聞いてくれると思うわ」
そうなのか? また黒竜王は迷宮を作ってるのか。まあ、噂で聞いたりしないから大した問題は無いと思うが。けど、紹介状もってったら話聞いてくれるって連呼してるのが前フリにしか聞こえない。なんか黒竜王にまた会ったら、問答無用でバトルになりそうだな。それだけは勘弁して欲しい。けど、確か黒竜王は神竜王に勝った事があるって聞いた事があるような? しくったな。こんな駄竜に会いにくるくらいだったら、黒竜王を探した方が正解だったかも。
「え、もしかして、貴方、ビビってるの? うわ、かっこわるー。ヒャハハハハハッ」
アダが僕を指差したあと柏手をうちながら笑う。黒竜王に会うのが嫌なのが顔に出てたみたいだ。それにしてもなんかムカつく笑い方だな。
「アン、殺ってよし!」
「らじゃー」
「待って、待って、悪かったわ。弱ったレディーを虐めないでーっ。大丈夫だって、多分オブも弱ってるから」
とりあえず、アンをスティさせる。アンは不満そうだが話が進まない。もしかしてアンってアダの事よっぽど嫌いなのか?
「ていうか、紹介状の前にお前はついて来られないのか?」
「ああね、その方が手っ取り早いけど、私は封印されていて、肉体をもって顕現出来るのが、距離的にここ地下50層、精神体が出せるのがここの迷宮内だけで、精神体は存在が強い者しか、感知できないし、この迷宮の外には出る事はできないわ。もっとも、私に情報を売ってくれる冒険者がいるから少しは世情を知る事は出来てるけど」
こいつに情報売ってる冒険者って誰なんだろう? 強い冒険者って言ったら思い浮かぶのは、家によく来る少女冒険者4人組か王都最強パーティー『地獄の愚者』くらいしか思いつかない。少女たちは、迷宮都市オリンピュアを根城にしてるから、『地獄の愚者』か? けど、まさかだよな。そんなに世間は狭くない。
「という訳で、ザップ、王都に行く事があったら伝言よろしく。『地獄の愚者』ってパーティーのジニーて名前の女の子に、『連絡遅いわよ』って」
まじか、世間せめー。
「おい、パム。そこにジニーいるか?」
僕は収納の拡張スキルのスマホを出して『地獄の愚者』のメンバーの1人、子供族の冒険者パムに遠話する。
『え、ザップさん、おひさっす。ジニーですね。はい』
『はい、ジニーです。ザップさんが私にお話ですか。出来ればそのぅ……』
なんか言いかけてるが、スマホをアダに渡す。
「え、ジニーちゃん。最近、ここに来ないわね……」
アダがクドクドと話し始める。なげーな。放置しとこう。
「準備できたわよ」
マイが準備したバーベキューコンロの中で炭がいい感じで燃えている。その隣にだしてある机の上には切った肉と新鮮なその他の素材が用意してある。魔法の収納バンザイだ。
よし、食ってやるぞ! けど、何か忘れているような?
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