弱点
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「神竜王ゴルドランの弱点は」
「「「弱点は」」」
アダに僕たちは合いの手を入れる。そして、ヤツは口を開けたまま制止する。タメ長すぎだろ。うぜー、めんどくせーヤツだな。
僕たちは今またテーブルでコーヒーを口にしている。僕とアンとアダは椅子に座っていて、隣ではマイがビチビチと暴れるでっかいトカゲの尻尾みたいなもの、アダマックスの尻尾を切り分けている。
なんか複雑な気分だが、このあとみんなで銀竜王の尻尾バーベキュー大会をする予定だ。あのあと部屋に戻るなりアダマックスは僕に襲いかかってきたので、とりあえず絶剣山殺しでどついてたら、事故でヤツの尻尾の先を切り落としてしまった。
ヤツは泣きながら人化して、裸だったヤツにマイが服を着せてやり、協議の結果、もったいないからヤツの尻尾を焼いて食べる事にした。スケルトン達は相伴に預かれないのをめっちゃ悔やんでた。
なんか人語を解する者の一部を食するのは気持ち悪い気もしたが、今まで散々ドラゴンを食してきてもいるし、アンたっての要望もありそうなった。
そういえば、前にアンの尻尾も切り落として出荷した記憶もある。
マイはとっても迷っていたが、アダの新しいスキル手に入るかもという言葉に折れた。マイはそれでも複雑な顔していたけど。アダは、どんだけ自分の尻尾を食べたいのだか。訳分からんヤツだ。
ちなみに、今まで新たなドラゴン肉を食べると、ほぼ何らかのスキルをゲットしている。マイなんて大当たりの『腐食の息』を引いている。
まだ、アダは口を開けてタメてるので、そろそろ腹が立ってきた。その顔も美人なはずなのになんかムカつく。
「早く言いやがれ。もう帰るぞ!」
「ご主人様、しめましょうか?」
アンの目がキラリと光る。その拳はきつく握られている。殺る気だな。アダが弱ってのを気付いた瞬間からアンは手のひら返した。超強気になってる。強きに弱く、弱きに強い残念なヤツだ。
「解りました。神竜王の弱点はネギが嫌いです!!」
アダはドヤっている。これは滑らない話をやりきったと勘違いしてる顔だ。もっと残念なヤツだな。微塵も面白くねーぞ。ドラゴンっていったい……
「ほう、そうか、ならスープに沢山ネギを刻んで入れたヤツを神竜王に飲ませてやれば、ヤツもイチコロだ! って、そんな訳あろかい! もう、帰ってもいいか?」
「スミマセン、スミマセン。私が知ってる弱点ってそんなものくらいですよ。もしかしたら、オブ、オブなら何か知ってると思います。私がオブに紹介状書きますから、それもってったらオブも話くらい聞いてくれるかもです。それはおいといて、早く始めましょ、バーベキュー、バーベキュー!」
アダは自分の太股をぱんぱん叩く。そんなに楽しみか? バーベキュー? 出てくる肉は自分の尻尾だぞ。
ていうか、こいつ有益な事何も知らないじゃん。無駄な時間を僕たちは過ごしているのでは……