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 不毀(ふき)


『野蛮な人ね、変身途中に攻撃するなんて』


 瓦礫をどかしながら銀竜王アダマックスは身を起こす。大きい、けど、神竜王よりは一回り小さく、あそこまで筋肉質では無い。なんて言うか、ドラゴンスタイルのアンや神竜王に比べて気品があり、美しささえも感じる。


「何言ってやがる。あんな所で変身されてたら、ぶっ飛ばさなかったら、俺たちがぶっとばされてただろ」


 ドラゴンたちが人からドラゴンに戻る時は爆発的な質量で辺りのものをぶっ飛ばすのが常だ。優しく出来ないものなのか?


『それもそうね、けど、普通の人ならまだしも貴方あなたならなんともなかったでしょ』


「気分の問題だ。ぶっとばされていい気分なやつは誰もいない」


『そっくりそのままお返しするわ。私は今、かなり気分悪いわよ』


 アダマックスの声に剣吞な響きが加わる。僕は身構えるが、戦いにはまだ早い。もう少し会話で時間を稼ぎたい。十分遠くまでマイとアンが避難するまでは。

 アイツは今は本体じゃない的な事を言っていた。それなら、何も気にせず全力で戦ってぶっ潰しても構わないだろう。相手は古竜、最強の一角だ。本気で戦ったら辺りがどうなるか判らない。マイとアンを巻き込みたくはない。


「気分悪いならどうするつもりだ? 自慢じゃないが、俺は神竜王ともそこそこ戦えたぞ? お前はそんなに強いのか?」


『あらあら、お馬鹿さんなのかしら? 私は銀竜王アダマックス。司る権能は不毀ふき。時が歩みを止めしものは絶対に壊れない。私は脳筋なゴルドランとはとっても相性がいいのよ。私はゴルを倒せないけど、ゴルも私を倒せない。だから私が古竜の2番手、神竜王に準ずる銀竜王と呼ばれているのよ。貴方が戦った黒竜王より、私の方が格が上、要は強いのよ』


 今の言葉で解った事がある。やはり神竜王ゴルドランの能力は物理のみ。ゴルドランはアダマックスを倒せない。けど、僕の状況的には何も好転はしていない。


「貴方のお仲間と、私の部下たちはどうやら避難したみたいね」


 いつの間にかスケルトン達も居なくなっている。


「これで、貴方も存分に戦えるでしょ。それではお話はここまでね」


 時間稼ぎはばれてたか。そこまで浅はかではないんだな。考えを改めないと。

 収納に神経を集中する。よかった。僕のハンマーがある。何処に居るか判らないけれど、ジブルは気が付いて収納にハンマーをしまってくれたらしい。収納からハンマーを取り出し構える。ズシリとした重さが僕に安心感を与える。さすが僕のハンマー。もうすでに神竜王を叩いた時のダメージはない。修復している。


「いくぜっ!」


 僕はハンマーを大上段に振り上げ走り出す。まずは挨拶がわりにとびっきりのやつを叩き込んでやる。跳び上がり、全身の筋肉を使ってハンマーを振り下ろす。


 ドゴムッ!


 鈍い音がして、ハンマーは過たず銀竜王アダマックスの眉間に命中する。だめだ、びくともしない……


『これが私の権能、アダマックスよ』


 灰色の塊と化したアダマックスから声がする。やはり物理はきかないのか。これは厄介だ。どうやってぶっ倒せばいいのか?


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