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 迷宮を進む


「オラオラかかってこんかい! このクソヤロー共がっ!」


 幼女導師がハンマーを振り回し、トロールの頭を潰していく。飛行魔法を駆使して巨人と戦うその様はまるで神話に出てくる英雄みたいだ。下品な煽り文句さえ無ければ……

 地下29層のボスのオークロードを倒して、僕たちは今30層を進んでいる。ここからいきなり攻略難易度が跳ね上がる。今まではフロアの魔物が変わる時は、新しい魔物は単体で出て来ていたのだが、ここの魔物のトロールは最大で4体も出てくる。このことは今は知れ渡っているのだが、それは最近の事だ。この階層から急に冒険者達とは会わなくなった。

 昔は30層まで来られるパーティーはほとんど居なく、しかも数少ないそのうちの1つだった、僕の所属していたパーティー『ゴールデン・ウィンド』はその事を秘匿していた。そのせいで、この階層で散って行った冒険者達は数知れない。

 マイが所属していたパーティーもここで亡くなっている。もし僕がたまたま出会わなかったら、マイもそうなっていただろう。

 魔物の情報を秘匿してた事をマイに伝えた時、『ザップは悪くないわ』とは言ってたが、複雑な表情だった。マイのパーティーが亡くなった部屋に花を手向けて先に進む。

 1番僕たちの中で戦闘能力が低いジブルに戦わせながら進む。少しでもレベルアップさせるためだ。僕のハンマーには成長補正がついているので、それを使わせている。ハンマーは神竜王をぶっ叩いて酷い事になってたのだが、自己復元能力もついているので、柄は真っ直ぐにはなっている。けど、鉄球は未だに変形したままだ。潰れた所がトロールの頭を叩くのにちょうどいいとかジブルは言ってるが、まん丸の方が見映えがいいので、早く戻ってほしい。


「お前、そんなに強かったのか?」


 ハンマーをブンブンしながら、先頭を走るジブルに問いかける。


「私は、スケルトンとヒドラの力を手に入れて変わったわ」


 うん、確かに、魔物化した時には見た目的には変わっている。今の姿でも女性としてはロリすぎるのだが、変身したらもう人外。ストライク圏外というより、ビーンボールだ。


「守られるだけではなく、人を守ることができる魔法使い。それが今の私よ!」


 なんか自己陶酔してるみたいだが、誰かがジブルを守る所なんて見た事がない。けど面倒くさいのでほっとく事にしよう。




 破竹の勢いでもう地下39層。懐かしのかつて僕が突き落とされた部屋につく。部屋の中央には宝箱があり、多分その前には今も落とし穴があるはずだ。


「ジブルって確か、落下スピードを緩める魔法使えるよな?」


「楽勝よ、だいたい大人6人くらいまで行けるわ」


「え、ザップ、穴に飛び込む気?」


 久しぶりにマイが口を開く。昔のパーティーの事を思い出してたのか元気無かった。


「はい、じゃあ行きますよ!」


 アンがマイとジブルの手を引っ張って引きずって部屋の中央に走る。


「え、待って」


「じゅ、準備が!」


 咄嗟に反応出来ず、3人はパカッと空いた落とし穴に吸いこまれて行った。


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