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第七十一話 荷物持ち熟考する


 僕が最後に見たのは、アレフの剣が光る様だ。傷から考えて斬りつけられたんだろう。

 けど、斬りつけられるのは全く見えなかった。

 それに、マイを吹っ飛ばした時、僕を蹴った時の動きは全く見えなかった。


 おかしいな、僕もマイも迷宮でかなりレベルを上げたはず。それなのに全く反応出来なかった。ということは、僕たちを遙かに超えるレベルなのか、なんらかのスキルのどちらかだろう。

 短期間でそこまでは強くなれるはずはないので、スキルに間違いないだろう。


 僕の考え得る限りでは、スキルは先制攻撃と必中だと思われる。先制攻撃は文字通り、先に攻撃を仕掛けられるスキル。必中は攻撃が必ずあたるという反則のようなものだ。どちらとも、アレフがもし持ってたとしたらかなり厄介だ。


 それと、何で僕は一撃で気を失ったのだろうか?

 よくよく思い出してみる。まず、気絶したときに痛みも何も感じなかったというのがおかしい。傷による、痛みや出血で気を失ったのではなく、攻撃が当たった事が気絶の要因だろう。

 呪い、スキル、毒、この三つが頭をよぎる。


 思い出せ、何かが頭にひっかかる。


 そうだ、アレフが剣を抜いた時に、がさつなアレフにしてはおかしく、『音が全くしなかった』。鞘走る時の金属の擦過音がしなかったって事だ。

 ということは、鞘に油かなんかが塗ってあったということで、奴はそんなマメなことはしない。


 毒、強力な麻痺毒を鞘に仕込んでるのでは?


 斬られた時に痛みがないのもそれで説明がつく。斬られた瞬間に麻痺したからではないだろうか?


 あと、ミノタウロス王ですら傷つける事が出来なくなるまで、レベルアップで鍛え上げた僕の防御力をどうやってかいくぐったのだろうか?これは単純に武器の性能だろう。アレフの剣がそもそも凄いのだろう。


 先制の必中攻撃から何でも斬れる剣で強力な麻痺毒を流し込み意識を刈り取る。奴のやりそうな事だ。仮定によるものが多いが、勇者アレフが好むものの一つが毒だ。毒で悶えさせるのが好きなんだ。

 この推測が正解ならやりようがある。答え合わせは、本人に聞くが早い。あいつは馬鹿だからおだてれば喜んで語るはずだ。


 一番重要な、対アレフの考えがまとまったのでここを出る事にする。


「フンッ!」


 鎖を引きちぎり、鉄の枷をむしり取る。


 まずはマイとアンを探そう。多分同じ様な目に遭ってるはずだ。無事じゃなかった時にはそれ相応の対応をしてやる!


 怒りがこみ上げてくるが、それを押さえつける。ぶつけるべきはアレフだ。


 今日という日を『ゴールデンウインド』解散の日にして、僕の記念日にする。そう誓い、つぎは大きな音をたてて鉄の扉を蹴破った。


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