指針
「どうする、あいつは倒せない」
僕は仲間に問いかける。僕の意思は決まってはいるのだが、みんなはどう思ってるのだろう。
荒野に出したザップハウスの中で、僕たちは今後の事について話し合っている。メンバーは、僕、マイ、アン、ジブルだ。少女冒険者四人は王国軍にことのあらましを説明しに行って貰っている。
僕たちは応接間でソファにこしかけてコーヒーを飲みながらマイにそのあとの事を説明した。ちなみに、マイの機嫌が直るのにはかなり苦労した。事故なのに……
僕から今までの話を聞いて、マイが口を開く。
「話を聞くところ、皇帝は王国を支配下に置くだけで、一般の人には何もしないんじゃないの? 戦争はお貴族様だけに任せて、あたしたちは関わらなくてもいいんじゃない?」
確かにその通り。なにもしないと言う選択肢もある。
「そうしたら、ポルトはどうなる? 良くて追放、下手したら処刑されたりもあり得るんじゃないか? あいつは馬鹿だけど友達だ。それは嫌だ」
僕の言葉にマイは考え込む。
「多分、ザップが帝国騎士の装備とかを奪いまくったから、もし帝国が攻めて来るなら、神竜王の力を使ってくると思うわ。そうしたら、私たちに出来るのは、時間稼ぎくらいしか出来ないと思う」
ジブルがタブレットをいじりながら話す。タブレットは僕の収納の拡張スキルによって生み出されたもので、僕の収納に入っているものを表示する事が出来る。ジブルには、それを見ながら帝国からの略奪品などをフォルダ分けして貰っている。帝国軍から手に入れた、服系のものは魔道都市で買い取って貰う予定なので。正直、むさ苦しい騎士達が着ていた服はなんか気持ち悪いから、処分してしまいたい所だったので助かった。
「俺は神竜王を撃退したい。一応、今回は痛み分けという事で、次は完全にぶっ飛ばしてやりたい。多分あいつは、こっちの方が強いと言う事を証明したら、今回のこの馬鹿げた行為を止めると思う。けど、今のままでは勝てない。何か良い方法は無いか?」
僕は3人を見渡す。
「すみませんご主人様、私がもっと昔の事を覚えていたら、もっと力になれるのですが……」
ん、昔の事を覚えていたら? 何か引っかかる。あ、そうか、自分たちで解らないなら、知ってる者、当事者に聞くしかない。
「アンが知らなくても、他の古竜なら何か知ってるんじゃないか?」
「そうね、駄目もとでそれもアリかもね。ここから1番近くで会ったのは、『太古の迷宮』の古竜アダマックスよね、取り敢えず行って見る?」
アダマックス、かつて、ラパンに訳が解らない古竜魔法を授けた奴か……。何考えてるのか解らない奴だから、あまり気は進まないが、しょうがないか。
僕らは家を収納に入れて、『太古の迷宮』へと向かった。