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 無敵の重騎士団(前編)


 私の名前は、ギルバート・アーデン。えある帝国に生をうけ、我が国が誇る帝国重騎士団の3番隊隊長を務める者だ。

 今は『決戦の荒野』で隊を整え、進軍の合図を待っている。今朝、王国の王都には宣戦布告の調書を持った使者到着してるはずだ。もうじき進軍開始だろう。

 今回の任務は至ってシンプル。帝国の盾たる重騎士団が進軍し、王国の町を一つ一つ併呑し、帝国の版図を拡大していくのみ。未だかつて超える事の出来なかった『決戦の荒野』を抜け、ここより1番近い町を拠点に、更に南下していく予定だ。

 先の大戦ではこの荒野で、王国、聖教国、都市連合の3軍相手に戦わざるを得ず、止むなく転進した。だが、今回の相手は王国のみ。しかも、電撃作戦で、王国に宣戦布告した今朝には荒野の中程まで進軍は済ませている。どんなに急いで王国軍が駆けつけたとしても、軽く荒野は越えている事だろう。そして、橋頭堡たる町から更に王国を浸食していく予定だ。


 今回の作戦の肝は荒野を越えられるかだけだ。ここさえ超えれば王国には、もはや我々の進軍を止めうる術は無い。いかに王国の騎士団が精強であろうとも、我々重騎士団の敵ではない。なぜなら、我々はランスを持ち騎乗した騎士の突撃でさえ、ほぼ傷を負うことが無い。それ程の卓越した防御力を誇る。


 だが、この軍事行動には、一つの懸案事項がある。兵站だ。特に我々は補給を断たれる事は死活問題だ。重騎士は一般人の倍以上飯を食わないとベストなパフォーマンスを発揮出来ない。

 荒野を超え伸びた軍様だと、軍を分断され孤立させられる危険がある。水の無い荒野に拠点を作れない以上、王国内の拠点確保は最重要になる。

 

 軍議の内容を反芻しながら、進軍の合図を待っていると、前方に人影が見えて来た。


 4人? 旅人か? けど、荷物持ってないな。服の上に首と腰にボロ布を巻いた男と、フードつきのコートを羽織った子供。その隣は若い女、丈の短いコートにブーツ。お、生足見えてるような。いいな。頭に、耳? 獣人族か? 珍しいな。その隣は、ぽっちゃり? いや着膨れだな。頭に角なのか? それとも装飾品なのか?


 男と女の子の4人だと思われるが、何なんだ? あちらからは軍の全容が見えてるはず。わざわざその前に来るとは。何を考えてるのか全く解らない。


「ありがとう!!」


 何だ? あり得ないくらいの男の大声が耳を刺す。どうも目の前の男からみたいだが、魔法か何かか? しかも何に感謝してるんだ? 帝国軍のあちこちからどよめきが起きている。


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