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 説得


「え、嫌よ、あたしもついていく!」


 マイはそう言うと口を真一文字に結ぶ。難しいな、こうなったらマイは梃子でも言うことを聞かない。


「そうだな…………これから俺たちの目の前にはこの世のものとは思えないような地獄絵図が繰り広げられる事だろう。正直、マイ達には……なんて言うか刺激が強すぎるだろう」


 これから僕がする行為は口にするのも憚られるような行為だ。どうしても口が重くなる。


「あたしは、今までザップのそばで色々なものたくさん見てきたわ。もう、何を見ても驚かない!」


 凛とした目つきでマイは僕をみる。


「え、そんなに沢山見てきたのか?」


 意外だ、マイはいつの間にそんなに沢山見てきたのだろうか?


「私達も何を見てもおどろかないっす。出来れば一緒に戦いたいっす」


 赤毛の戦士アンジュも僕に詰め寄ってくる。


「お前たちにはまだ早すぎる。もう少し経験を積んで耐性をつけてからだ。お前たちなら、今から俺がする事は解るだろう?」


 その言葉で、ルルがビクッと動く。やはり、魔法使いで読書量が多いだけある。これからどんな地獄が顕現するか想像したのだろう。


「アンジュ、私達は大人しくしとこう。多分、私達にはまだ早すぎるわ。心が耐えられないと思うわ。本当は少し見てみたい気もするけど……」


 ルルはアンジュの裾を引っ張る。


「それでは、私達はここで待ってます。何かあったら、すぐ連絡下さい。あと、ここから見ていて異変を感じたら駆けつけます。ご武運を」


 エルフの野伏レンジャーのデルはそう言うと僕に頭を下げる。デルは落ち着いているので、こういう時は話が早いので助かる。戦闘以外では常識人で4人の中ではお姉さん格だ。


「あたしはついて行くわよ。ザップは無差別に人を殺したりとかしないでしょ? 戦争を止めに行くのでしょ?」


 むー、どう言えばマイは解ってくれるかな?


「ああ、確かに殺すつもりはない。けど、絶対じゃない。それに、あんなに敵が多いと手加減出来ないんだよ。マイなら解るだろ?」


「解ってるわ。それでもあたしはついていくわ!」


「……しょうがない。好きにしろ。無理だと思ったらすぐに下がれよ」


「無理だと思う事は無いわ!」


 僕でさえも、本当の所はやりたく無いのに、マイは何でこんなにやる気なんだろ? も、もしかして好物なのか?


「ご主人様、私達には配慮ないんですね?」


「私も、見た目は子供なんですけどぉ」


 アンとジブルがぶーたれる。


「お前ら、何見ても何とも思わんだろ」


 コイツらは、間違いなくウ○コ見ながらカレー食べられるくらいのサイコパスだ。


「「そうですけどー」」


 あ、ハモってる。頭の中身もハモり気味なんだろうな。


「では、行くとするか。ジブル、俺の声を大きくする魔法って使えるか?」


「楽勝よ!」


「あと、アンは始まったらドラゴンたのむ。火はなしで、叫びだけでよろしく」


「承知ですっ!」


「あと、ジブルは得意の風魔法でそこそこ強い風を吹かせまくってくれ」


「りょーかいよー!」


「ザップ、あたしは?」


 マイが目を輝かせてる。んー、マイにさせる事ないなー。


「そうだな、小石でも拾ってて、死なない程度に敵に当ててやれ」


「えー、投石ーっ?」


 マイは不満そうだけど、せっせと真面目に小石を拾い始めた。ちょっと可愛いな。

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