帝国軍
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しばらく僕たちは思い思いに時間を過ごし、マイが作ったいつもより豪華なご飯を食べて、順番にお風呂に入って寝た。
久しぶりの大勢の食事で活気があるを通り越してうるさかった。女の子って集まると集まるほど元気になるのは何故だろうか? まあ、荒野の中だからどんだけ騒いでも問題は無いが。正直、男は僕1人なので肩身が狭い。
ベッドの数の都合上、僕はソファだ。誰かと同じ部屋になるよりこっちの方がいい。
なんも問題なく朝を迎え、賑やかな朝食を終えて、僕たちは出発した。
街道をひた走る、着膨れ2人と、女の子6人。何度か馬車を抜いたりすれ違ったりしたが、誰もが目を見開いていた。そりゃそうだ。馬より速く走れる人間はそうそう居ないはずだ。
そして、国境を越えたと思われる。国境と言ってもここら辺は荒野なので、目印もなんもなくだいたいでしか決まって無い。しかもこの荒野は、王国、帝国、聖教国、東方諸国連合に接していて、不毛故にちゃんとした国境の線引きがされていない。
けど、荒野故に大軍を配置する事が出来て、よくこの荒野から戦争は始まる。
『決戦の荒野』
いつかしら、ここはそう呼ばれている。
荒野をひた走ると、目の前に帝国軍の陣が見え始める。ジブルに持ち上げて貰って上空から俯瞰する。ジブルは飛行の魔法も使うことが出来るが、運べるのは大人1人だけだ。両手をお互いしっかり握る形でぶら下がっている。落とされそうで、少し怖い。
今は、かなり高いとこから眺めているが、圧巻だ。綺麗に碁盤の目状に人が並んでおり、遙か後方に幾つもの天幕が見える。多分そこが兵站部隊とかだろう。陣形を整えているという事は、これから進軍するつもりだろう。皇帝を探すが何処か判らない。それにしても凄い数だ。数える事が馬鹿らしくなるくらいだ。
見たところ、前列には重騎士団、そして、騎馬隊、歩兵と続いているみたいだ。軽装な部隊や、ローブを纏った集団もいる。弓兵や、魔道兵だろう。
「めっちゃ、いっぱい集めてるわね。何万人いるのか判らないわ。多分、帝国、これだけの軍を賄うためには、短期決戦じゃないと破綻すると思うわ」
ジブルが遠くを見ながら口を開く。という事は、帝国は後には引けないって事か。
「じゃ、ご希望通り短期決戦で決めてやるよ。戻るぞ」
だいたい概要は判ったので、早く戻りたい。上空は寒い、寒すぎるのだ。
「どうだった?」
戻った僕たちにマイが問いかける。
「正直数えられないくらいの人数だった。しかも進軍は近いみたいだ」
「ザップ、どうするの?」
「いつも通りだ。けど、数が数だから手加減出来なさそうだ。まずは、俺とアンとジブルで攻める。マイ達は、何かあるまで待機しててくれ」
さすがにこれからの地獄絵図をマイ達には見せたくない。アンとジブルは大丈夫だろう。ほぼ人外だしな。