表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/2094

第六十八話 荷物持ち城に入る


「それでは、私についてきて下さい」


 城門を入ってすぐの所で僕たちは馬車から降ろされ、そこでは神官のババが僕らを出迎えてくれた。彼女は修道服のようなのを着ている。本物の神官だったんだな。

 ババについて行くと、また大きな門がありその横の通用口を通る。扉を挟んで完全武装の衛兵が立っている。僕らが通っても微動だにしない。外から見たら解らなかったが、城壁は二重になっていた。

 大きな中庭の中の石畳の道を行く。道を挟んで巨大な精巧な石像が等間隔で並んでいる。かつての偉大な王や、国に貢献した勇者の像みたいだ。各々の台座に大きな碑文がある。拾い読みしてさっきの結論に達した。


「いやー、大きい石像ですね」


 アンが戯言をほざいてる。つっこんで欲しいのか?ドラゴンに戻ったらこいつの方が遙かにでかいのに。


「アンちゃん、本気で言ってるの?」


 あ、マイがつっこんだ。マイは基本真面目だからな。


「いえ、冗談ですよ、この大きさなら一噛みですね、一噛み」


 子供じゃあるまいし、なんでも口にいれないで欲しいものである。


「ドラゴンって岩を食べるの?」


「食べはしないですよ、歯を磨くのに使うのですよ。こう見えてもわたくしレディーですので、身だしなみには気を付けてるのですよ」


 ああ、もう我慢出来ない。つっこみどころ満載すぎて。


「アン、まず人間のレディーは歯磨きに岩や石を使わないからな、それに身だしなみに気を付けるのなら、今後は常に服を着ろ」


「嫌だなー、ご主人様、冗談、冗談ですよ」


 アンの目を見るが泳いでいる。こいつ人間も石で歯を磨くと思ってたな、今後は食事のあと口に固いものをいれないか監視が必要だな。フィンガーボウル飲むし。


「アン、しばらく所作振る舞いはマイの真似をしろ。マイ、しっかり行儀を教えてやってくれ」


「わかったわ、ザップ、任せて」


 マイが親指をあげる。


「えー、マイ姉様の真似するんですか?私もご主人様の寝てる姿を凝視したり、一緒に寝てたぼろ布の臭いかいだり、使った食器を舐めたりしないといけないのですか?」


「アンちゃん、変な事言わないで!そこまではしてないわ!」


 マイが真っ赤になって否定する。むっ、そこまでは?


 前を歩いているババの肩が小刻みに揺れてる。もしかして、笑うのを我慢してるのか?


「詳しく聞きたい所だが話はここまでにしとこう。ババさんも笑ってるぞ」


 程なくして、また衛兵つきの大きな扉をくぐり城内に入った。


 装飾華美な通路を通り、広間に案内された。どうも待合室みたいだ。幾つものテーブルがあり、色んな格好の人達が座っている。その中に場違いなことに武装した一団がいる。どうして武装して城に入れるんだろう。興味が湧いて少し近づいてみる。


 その一団を見ると、心臓を鷲掴みにされたような衝撃がはしった。


 なんで、あいつらがここに?


 しかもなぜこんな所で?


 武装した一団は、僕を追放した大陸有数の冒険者パーティー『ゴールデンウインド』の四人だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ