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 初稽古は寒稽古 (前)

 すみません。また、です。今日中には仕上げます。<(_ _)>


「それではっ! 行くぜっ!」


 僕は気合を入れ滝に向かう。なんか滝デカすぎないか? 今まで、様々な窮地に立たされてきたこの僕でさえ怯んでしまう。


「ザップー、無茶しなくてもいいのよ」


 マイの声が聞こえる。それが勇気を振り絞るトリガーになった。


「どぅえいっせいっ!」


 口から勢いで訳わからない掛け声を上げながら僕は滝に突っ込んだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 今日はデル先生の格闘技講座の初稽古。寒稽古というものだそうで、今日だけは希望者のみだ。僕たちが今いるのは大きな滝のある川べり。今日の参加者は、僕、デル、マッスルレリーフの3人だけだ。あのマイですら、今日は見学だ。河川敷でなんか鍋で炊いてたりする。

 しかもなんか今日はギャラリーがいる。少女冒険者の残り3人と、王都の冒険者パーティー『地獄の愚者』の残り3人だ。

 めっちゃドボドボ言ってる滝を見上げる。よく見ると滝の一部は平たい岩の上に落ちている。あ、あそこ歩いていけるんじゃ? そんなこと思いながら滝のそばに僕たちは連れて行かれる。


「本日は滝に打たれて心身を鍛えたいと思います」


 デル先生がファンキーな事を言う。滝に打たれる? 心身を鍛える?


「はいっ、冬に滝に打たれる事と、格闘技になんの関係があるんですか?」


 たまらず、手を上げて発言する。今の格好はみんな道着一丁、今ですら正直寒い。これでさらにずぶ濡れになったら多分死ねる。勘弁して欲しい。


「私もそれは余り解んないですけど、私達は代々続けてきました。寒い中、滝に打たれると、間違いなく。心は鍛えられます」


 なんか答えになってない気がするが、なんて言うか儀式的なものだろう。エルフって結構野蛮だな。


「それでは、今から行こうと思いますが、誰から行きますか?」


 そう言ってデルは僕をみる。レリーフも僕を見ている。これって拒否権無さそうだな。やれやれ、行くしかないのか。ギャラリーも僕を見ている。しょうが無い。心意気をみせるしかないか。と言うわけで、僕は滝に向かった。



 滝に飛び込むと、以外に思ったより水は冷たくない。そうか、水より外の方が寒いのか。


「せいっ! せいっ!」


 僕は滝に打たれながら、正拳突きを繰り出す。みんな賞賛の目で僕を見ている。


 これが男の生き様だ!


 我ながら、今の僕はかなり格好いいはずだ。


 そのみんなの視線が僕の上に移動する。ん、何なんだ? 上を見上げる。


「ウボボボボボボッ!」


 大量の水が押し寄せ、口に水が入って僕は変な声を上げる。なんだ? 一瞬にして僕の道着の上着が脱げ、下履きもズリ下がる。下履きを引き上げようと、前に屈んだのがダメだった。襲いかかる水が僕のパンツもずり下げる。やばい! 収納から出したポータルを股間の所に並べる。1枚1枚は透けているポータルも集めれば視界を遮る事は出来たみたいだ。いかん、情けない事この上ない。しかも上からは怒濤の水。あ、そうだ、収納スキル! なんとか降り注ぐ水を収納に入れ、体勢を整えパンツを引きあげる。トランクスは駄目だ。これからはブリーフかボクサーパンツかブーメランだな。冒険者はパンツにもこだわらないと生きていけないと言うことを学ばせて貰った。

 辺りを見渡すと。誰も彼も笑いをこらえている。ほう、そんなに人の不幸が面白かったか……

 それにしても何が起こった? もう戻ってるが、さっきは間違いなく水量が強くなった。誰だ? 誰のいたずらか?

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