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第六十五話 荷物持ち整えられる


「おい、ザップついたぞ」


 それはそれは快適な馬車の旅だった。頭や腰などガツガツぶつけるし、時折誰かがいろんな所を触ってきた。それに馬車に酔ったのか少し気分も悪い。


 マイとアンを見る。しょうもない悪戯したのはどっちだ?二人とも目を逸らす。両方か。とりあえず頭をわしゃわしゃして、耳と角を触る事で勘弁してやる。耳はもふもふで、角はつるつるだった。少しイライラが解消された。


 馬車の荷台から降りると、余りごてごてしてない、趣味のいいつくりの屋敷が目に入る。


「ザップついてこい」


 ポルトに促されて屋敷にはいる。


 中に入ると吹き抜けの階段がある大広間で、天井からはアンティークなシャンデリアが幾つも下がっている。十数人のメイドと執事がいて二列に並んでいる。


「「「お帰りなさいませ」」」


 全員一斉に唱和し、頭を下げる。微塵の乱れもない。僕は小市民なので、圧倒されてしまう。しょうもない考えだけど、これだけ揃うということは毎日練習してるんだろうな。


「彼らを湯浴みさせて新しい服に着替えさせろ。俺の命の恩人だ粗相がないようにな」


「「「承知いたしました」」」


 ポルトの声にまた一糸乱れず全員が頭を下げる。


 全く気にしてはいなかったが、やはりポルトは王子様なんだな、権威にびびった訳ではないけど、今後はもっと丁寧に接しよう。


 全員の視線が僕に集まる。やはり、場違いすぎるのだろう。駄目だこういう空気は、変な所に汗をかいてきた。


 僕は執事、マイとアンはメイドにエスコートされて、別室に連れて行かれた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「あなたは誰なの?あたしのザップを返して!」 


 マイが胸に手をあてて、芝居がかった仕草で言う。赤いドレスが白い肌に映え、まるで深窓の姫君みたいだ。首狩り族の面影が全くない。


「誰がいつからお前のものになった、それに俺はザップだ!正真正銘ザップだよ!」


 僕も湯浴みして、髪を整え髭を剃ってもらいタキシードに身を包んでいる。鏡で見たがまるで別人だ。たまにはこういうのも悪くないかもな。


「ご主人様、とっても似合ってますね、二十才位若返ったみたいですね」


「二十才若返ったら子供になるわ!」


「えっ、ご主人様、今何歳なんですか?」


 アンはブルーのドレスに身をつつんでいる。見た目はお淑やかそうで、まるで、陳腐だけど本の中から飛び出した妖精みたいだ。どっからどう見ても見境無く雑食のドラゴンには見えない。


「けど、なんかつまんないわ、やっぱりザップは猿人間の方がいいわ」


「ご主人様、ここを出たらまたいつものスタイルに戻すのですよね?」


「お前らな、誰が好き好んで裸同然で生活すると思うんだ。やむなくあんな格好してただけだ」


「え、ザップは趣味であんな格好してたかと思った。村でも服欲しがってなかったし」


 マイが小首を傾げる。


「解った、そんなにミノタウロスの腰巻きが好きなら、お前らにやるよ、この後あれを着て生活しろ、結構楽しいぞ」


 僕は収納から腰巻きをだす。


「嫌よ」


「嫌でーす」


「ほら、嫌だろ」


「ザップ様、主がお呼びです」 


 執事が部屋をノックする。僕達はじゃれ合うのを止めてついて行った。


 

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