あけましておめでとうございます!
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
「あけましておめでとうございますってやつだ! とりあえず今年も俺についてこい! という訳で、いくぞ! かんぱーい!」
新年へのカウントダウンの後、俺様は、酒場の奴らを煽り、再び乾杯の音頭をとってやる。何人かへべれけでうちあがった奴もいやがる。軟弱だな。これくらいの酒でやられやがって。
「おい、シャリー、あいつらを癒せ」
そばで酒を給仕しているシャリーの腕を掴む。コイツは元大神官。解毒の魔法は天下一品だ。
「ひっ、ザップさん。1人小金貨一枚になりますが……」
ん、たけぇな? 正月料金か? しょうがねーな。
「釣りは取っとけ」
大金貨1枚握らせてやる。
「はい、今すぐにー!」
シャリーの顔はパッと華やぎ、スキップして飲んだくれた奴らを癒していく。
「よーし、生き返ったな! 俺様の奢りだ。野郎ども、ジョッキを掲げろ!」
給仕している忍者ピオンに大金貨を弾き、全員に酒が配られる。忍者パイとも連携して一瞬で配り終わる。忍者って便利だな。忍者の天職は給仕だな。
「パム、人魚、例のやついけ!」
大金貨を投げ銭してやる。パムの目の色が変わる。
ポポン、ポン、ポン、ポポポポポポンポン!
パムのリュートから勢いのいい旋律が流れる。
きたきたっ!
「「「モンキーマン、モンキーマン、モンキーーーーマーーーン」」」
人魚の『誘う歌』が店内全ての人々を歌わせ1つにする。
「ザーーーーップ!」
決めは当然俺様だ。
「新年に、そして、『最強の荷物持ち』にそしてここに居る奴ら全員に乾杯だ。かんぱーい!」
ジョッキをぶつける音が店内に響き渡る。いい感じで盛り上がってきたな。席に戻り座る。座るとマイが俺様をじっと見つめている。
「どうした、マイ。なんだ? チューして欲しいのか?」
マイの顔が赤くなる。可愛い奴だ。
「ちょっと、イキすぎてますね」
ドラゴン娘アンも僕をじっと見つめている。しょうがない奴らだな。そんなに俺様が好きなのか?
「そうね、そろそろ止めないと、ザップ破産しちゃうわ。なんかもったいないけど、はーい、シャリーちゃーん」
マイは何を言ってやがる。マイの下にシャリーが走ってくる。
「解毒をお願い」
「銀貨3枚です」
何っ、全然料金が違わないか? 悪徳神官め。
「解毒!」
シャリーの手が俺様の頭に触れる。なんか暖かいな……………………
ぼ、僕は何してたんだ?
おぼろけに覚えている。
じゃんじゃんコールしてたような……
「ま、ま、マイ、俺は何してた?」
「んー、散財。見事にたかられまくってたわ」
目の光が無い笑顔が僕に向けられる。ん、散財? 収納の中をチェックすると、お金がかなり無くなっている。やべぇ、貧乏だ……
幼女導師ジブルがマイの袖をクイクイしてる。
「けど、マイさん、多分さっきあと少しで撃沈してたから、チャンスだったんじゃ?」
おいっ、何をする気だ。幼女導師。
「んー、今日だけは、好きなように飲んでいいわよ。新年だしね」
おおっ、マイの許可が出た。今日はとことん飲んでやる。
「皆の者! 盃をかかげよ! 魔王の名の下に命ずる! 乾杯だ!」
俺様は、店の全員に命じる。酒を飲み干す事を。魔を統べる者の義務として、民草の息災を祈る事は必要だ。更なる畏怖と畏敬を俺様に捧げる為に邁進して貰わねば。
「魔王リナ、汝も魔王としての責務を果たせ。次は主の番だ」
まどろみかけている、金色の魔王を招致する。
「承知、次はわらわの番だな。金色の魔王の名の下に命ず。乾杯だっ!」
また、皆で盃を交わす。よきかな、よきかな、これこそ年始に相応しい。
「また、キまってますね」
席に戻ったら、ドラゴン娘がなんか言ってる。
「なんか、今度はうざそうね……」
マイがジト目で俺様を見ている。どうかしたのか?
「私的には、中二的なものが混じっていい感じで香ばしいですね。好物ですっ!」
幼女導師も何言ってるんだ?
「却下!」
「却下ですっ!」
マイとアンは何かが気に食わないらしい。
「シャリーちゃーん!」
「はーい、解毒!」
……………………ん、僕は何をしていたんだろう?
げっ、お金が……
「ザップ、お酒、控えよっか?」
マイが目に光がない笑顔で僕を見ている。
「うん、そうだね……」
そんな感じで、喧騒に包まれながら、新年の夜は更けていった。なんかおぼろげに楽しかったような気もするが、お金が……
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