表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

644/2100

 稽古仕舞い


「それでは、最後に今年1年の成果を噛み締めて貰うため、組み手を行います」


 エルフのデル先生の声が部屋に響く。今日は今年最後のデル先生の格闘技講座。ここは魔道都市アウフの魔道士ギルド本部の一室の封印の部屋という所で、スキルを封じる効果がある。僕やマイの剛力のスキルはかなり激しいので、こういう施設があると手加減に気をさかなくてよくなるので助かる。

 部屋の中央には天井から大きなクリスタルがぶら下がっていて、そこが魔道具の心臓部だそうだ。絶対に壊さないように幼女導師ジブルに言われている。それってもしかして、フリなのか?


 今日のメンバーは久々のフルメンバー。僕、マイ、ドラゴン娘アン、マッスル黒エルフのレリーフ、子供族ホップのパムだ。ここは暖かいのでアンやパムも参加出来た。


「イキますっ!」


 パムがデル先生に挑みかかる。なんか掛け声がすこし気持ち悪い。パムはデルに飛びかかっていくが、秒殺でボコられる。


「パム、もう少し雑念を払えばもっと強くなれるでしょう」


「はいっ……」


 雑念とはズバリ、エロだろう。奴の攻撃はセクハラ狙いだったからな。


「デル先生、お願いしますっ」


 次はマックス巨人レリーフがデルに向かっていく。


 おおっ!


 レリーフの右ストレートをデルが押さえ込んで、その巨体をもちあげて、脳天直下杭落としパイルドライバー、デルはレリーフの頭を太股で挟んで頭を大地に叩きつけた。うわっ、レリーフ、床に刺さってるよ。生きてるのか?


 お、生きとる。生きとる。


「レリーフ、巨大な力は利用されると、その力自身が己に牙をむきますよ」


「はいっ! デル先生っ!」


 レリーフは恭しく拱手して腰掛ける


「それでは、私の番ですね」


 ドラゴン娘アンはデルに、中々善戦したが、いつものように投げられる。


「アンさんは、もっと頭を使って組み立てましょう」


「はーい」


 それはアンの全般に言える事だと思う。


「次はあたしね!」


 マイがデルに向かっていく。マイとデルの組み手は、まるで打ち合わせた演舞みたいに続いている。2人の麗人が、まるで神前で舞いを舞ってるみたいだ、マイなだけに。

 よどみなく続く舞いは、唐突に終わりを告げる。マイの目の前でデルの拳が寸止めされる。


「マイ姉様、僭越ですけど、正攻法は強いです。けど、より強い正攻法の前には敗れ去ります」


「さすがね、デル。あたしはもっと練習するわ」


 んんー、正直、マイがもっと強くなったら困るような……


「トリは俺か。いくぞっ」


 僕の信じるものは力。男は黙って右ストレート!


 当然デルにかわされて、その手を巻き込まれ、背負い投げに持ってかれる。投げられて飛んでく瞬間にデルのどっかを掴み飛んでいく。ん、けど、軽い?

 投げっぱなされて、空中でなんとか身を翻し着地する。手に握られてるのはデルの道着。空蝉の術か? 忍者が使うという。


「キャアッ!」


 デルが可愛らしい声を出してしゃがみ込む。あ、ただの事故だったのか。

 あっ、デルは道着の下には下着しか着ていないみたいだ。けど、悪いがこれは勝負だ。まだ終わってない。いかせて貰う。僕は全身に力を込める。


 ビシッ!


 なんかが割れたような音がしたような?


「ザップ、魔道具にひびが!」


 マイが叫ぶ。


「なんだとおっ!」


 どうも魔道具のキャパを超えてしまったみたいだ。なんか僕の邪念が壊したみたいでやな感じだな……





「今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします」


 着衣を整えたデルが落ち着いた声でしめる。


「「「ありがとうございました!」」」


 斯くして、今年の格闘技講座は終わりを告げた。魔道具のお陰で僕の組み手はうやむやになっちまったな。それよりも、多分壊してしまった魔道具の修理費が恐ろしい……




 

読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ