雪 (後)
ブクマ&評価&誤字報告ありがとうございます!特に誤字脱字報告、とても助かってます。この場でお礼を述べさせていただきます。
改稿、誤字脱字修正を休憩の時に励んでるのですが、恥ずかしくなるようなミスにも気付かないものです。とても助かってます。
「それって多分、『決闘の石』ね」
帰って来た幼女導師に聞いたら、一発だった。僕たちはみんなで炬燵でミカンだ。悲しい事に今日は猫ちゃんはいないみたいだ。
「何だそれ? どういう効果があるんだ?」
「1回こっきりの魔道具で、使用者と対象者を時の止まった異界に引きずり込むものよ。使用者か対象者が気を失うか3時間くらいたったら元に戻るわ。東方諸国連合では所持は禁止されてるけど、王国ではまだ出回ってるのね」
「え、何で禁止なの?」
マイだ。僕はすぐに理由は解った。マイは根が善人だから考えが回らないのだろう。けど、やぶ蛇になりそうだから、説明はジブルに任せよう。
「元々はその名の通り、誰にも邪魔される事無く決闘するために作られたものだと言われているけど、ストーカーとかが買いたがるのよ」
「あ、分かりました。モテない男が好きな女の子に使うんですね。2人っきりでしっぽり数時間。犯罪ですね。ご主人様も欲しいでしょ?」
「んなもん、いらんわ」
ドラゴン娘は嬉しそうだ。教育を間違えたかもしれない。戦闘や犯罪の話になると嬉々としやがる。今度もっと優しくなれる昔話でも読み聞かせてやるか。まずは『笠地蔵』という東方のやつからいくか。
「んー、悪い事考える人多いのね。あ、そういえば、王都の魔道具屋さんでこの前『決闘の石』って見かけたわ。何につかうのかなって思ってたけど、ここでは違法じゃないのよね?」
「そうだと思いますよ?」
マイにジブルが答える。
「じゃ、あたしは食材の買い出しに行くわ」
マイの目がキラキラしている。なんかいいことあったのか?
「え、マイ、昨日行ったばっかじゃないか? 外、雪で寒いぞ」
「んー、どうしても、どうしても欲しい食材があるのよ、じゃ」
マイはそそくさと出て行った。
「あ、そう言えば、ちょっと、私もやり残した事が……」
幼女導師は目をギラつかせながら急いでどっかに行った。
「あ、そうですね。私も用事が出来て。じゃ、また後で」
ドラゴン娘でさえも炬燵から出て行った。3人揃ってなんなんだろうか? もしかして、『決闘の石』が欲しいのか? 誰か倒したい人がいるのだろうか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それで、お前達、『決闘の石』を何に使うんだ?」
炬燵に戻って来た3人に尋ねる。
「そりゃ、決まってるでしょ、むぐっ」
ジブルの口をマイが押さえる。
「ピンチに陥った時とかに使ったら、しばらく時間を稼げるでしょ。絶対に役に立つわ」
マイが早口でまくし立てる。
「それもそうだな」
杞憂だったみたいだ。嫌な予感したからな。
「ふふふっ、ご主人様と2人っきり……」
なんかドラゴン娘が剣吞な事をほざいているから、しばらくは警戒したほうがいいかもな。