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 メリークリスマス

 メリークリスマス! やっとお仕事終わって帰れます。皆様に幸あらん事を。


「くそっ!きりが無い……」


 僕はゴブリンを殴り倒す。それを乗り越えて来たゴブリンも殴り倒す。


 僕は何をしているのだろう。今日はクリスマスイブだというのに……

 本当は今頃、暖かい家の中で仲間と一緒にワイワイしてたはずなのに。最低だ。


 辺りに立ってる者が居なくなったのを確認し、僕は全力で駆ける。今日はクリスマス、みんな浮かれ騒いでいる。絶対に邪魔はさせない!



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 王都でみんなのプレゼントを手に入れ、馴染みの街に帰ってるときに、ボロボロの馬車が僕を追い抜いて行った。おいおい、御者、矢が刺さってるぞ。

 僕は走って馬車に併走する。


「何があった?」


「魔物の行軍だ……早く知らせないと、酷い事に……」


「………待てっ」


 僕は馬車を止めさせて、御者を治療する。


 西から魔物の軍勢が進軍してると言う。交易の帰りに運悪く遭遇したそうだ。軍はまだ国境付近だけど、このままでは西のはずれの町は蹂躙されるだろうと。

 それで、王国軍は間に合わないだろうから音に聞こえし英雄、猿人間モンキーマンザップとその仲間達を頼って馬車を走らせていた所で僕に遭遇した。


「お前は、これで街で休め。俺に任せて、見た事は黙っとけ」


 僕は男に大金貨を数枚握らせる。


「さすがに、馬車に追いつく兄さんは只者じゃないと思うが、相手は軍だぞ。ザップ、ザップを呼んでこないと……」


「安心しろ、俺が猿人間モンキーマンザップだ!」


 名乗るのはイキってるみたいでやだけど、男を安心させるためだ、止むなしだ。


 魔物の軍勢が目撃された所を詳しく男から聞く。


『すまん、ポルトのパーティーに無理矢理誘われた。遅くなるかもしれない。先にみんなで楽しんでてくれ』


 僕は収納スキルから派生したスマホでマイにメッセージを送り走り出した。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 終わる事なく魔物を倒し続ける。収納スキルは一切使って無い。使ったらマイ達に僕が今している事を察知されるだろう。『絶剣山殺し』や『ザップハンマー』が収納に入ってないのがわかったら、戦っているのがもろバレだ。


 何時間戦っているのだろうか? 目の前のゴブリンを叩き潰す。緑の体から赤い血がほとばしる。クリスマスツリーの緑、街で真っ赤な服で扮装してるサンタクロース。クリスマスは赤と緑だよな。けど、僕の目の前に広がる赤と緑はゴブリンとゴブリンの血だ。最悪だ。なんて最悪なクリスマスだろう。これなら、1人で布団にくるまってた昔の方がまだましだ。けど、僕のおかげで辺境の村ではクリスマスを祝えてるはずだ。しょうがないな。


「ザップ・グッドフェロー、メリークリスマス……」


 僕は自分自身を祝い、疲れた体に鞭を振るう。


 おかしい、倒しても倒しても魔物が減らないし、その士気が下がらない。しかも、ゴブリンやオークなどの下等な魔物にしては強い気がする。夜も更け、月明かりに照らされながら、次々と魔物の集団を屠っていく。


「うぎょぎょぎょぎょぎょ!」


 殲滅を繰り返していくと、目の前に気持ち悪い生き物が現れた。巨人、沢山の腕と沢山の頭がついた巨人だ。その後ろには大きな門がある。そこから魔物が現れている。アレをぶっ壊せば終わりか。早く帰って家のパーティーに間に合わせる!


「どおーりゃー!」


 渾身の力で巨人を殴りつける。殴った所は肉ごと抉れるが、モコモコ再生しやがった。気持ち悪い奴だ。それでも僕は殴り続ける。


「うがっ!」


 疲労ですこし足がもつれ、ぶん殴られる。大したダメージではないが、千日手だ。今の僕の攻撃では少しづつしかダメージを与えてないように見える。武器を出すか? 否! みんなにはクリスマスを楽しんで貰う! 


「ゴゴゴゴゴゴゴーーーッ!」


 巨人が炎に包まれる。僕の後ろから伸びた一筋の炎の帯が巨人を焼く。ドラゴンブレス?


「ていやーーーっ!」


 巨人の回りを駆け回る影。巨人の手がボトボト落ちる。そしてこちらにやって来る。


「ザップ、メリークリスマス!」


 マイだ、なんでここに?


「え、クリスマスパーティーは?」


「ザップが居なくてパーティーになる訳ないじゃん」


「それより、でかぶつをやりますよ!」


 幼女導師も現れる。


「自家製メテオストライク!」


 導師ジブルは杖を振り上げる。けど、これってコイツの魔法じゃなくて、僕の収納から出してるだけだよな。


 ドゴゴゴゴゴゴッ!


 燃え盛る隕石もどきが衝突し、巨人は炎に包まれる。


「ご主人様、いっちゃってください」


 ドラゴン娘に背中を押され、僕は収納から武器を出す。


「絶剣、山殺し!」


 ザシュッ!


 軽い音を立てて、30メートルはある大剣が巨人ごと大きな門も破壊する。


「じゃ、クリスマスパーティーを始めましょうか」


 マイが斧を片手に跳び出す。


「ああ、みんな、ありがとう。メリークリスマス!」


 僕はハンマーを手にして、僕らのクリスマスパーティーを再開した。

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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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