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 荷物持ち仲間(後編)


「なんで、魔道具が炬燵こたつなんだ? くっそー、こんなガラクタのために、危険を冒したのかよ」


 冒険者のリーダーと思われる戦士っぽい奴が炬燵をうっちゃる。こ、こいつは、炬燵を馬鹿にしやがって。僕は炬燵を愛する者の1人として、ふつふつと怒りが湧き上がる。

 それにしても素晴らしい炬燵だ。折り畳み式の天板に土台は足を曲げて収納出来るようになっている。炬燵布団は綺麗に折り畳まれていて、一式が袋に綺麗に入るように計算されている。


「おい、リーダー、ガラクタは捨てて、コイツらだけでも売っ払っちまおうぜ。収納持ちだから結構高く売れるだろうよ」


 盗賊っぽい男が近づいてくる。


 炬燵がガラクタ?


 駄目だ。コイツらは言ってはならない事を言った……


「おい、お前、炬燵をガラクタと言ったのか?」


「なんだ、おめーは? ぶん殴られたいのか?」


 戦士を筆頭に冒険者達が集まってくる。盗賊、魔道士、僧侶か?


「兄ちゃんやめとけよ、かないっこないぜ、下手したらぶっ殺されるぞ」


 ガリおっさんが僕にすがりついてくるが、それを優しく振り払う。


「お前達は、炬燵に入った事あるか?」


「あん、何言ってるんだ? そんな足しか温まらないようなもん使う訳ないだろ」


 足しか温まらない? この戦士は馬鹿なのか? これは教育が必要だな。


「お前達に炬燵の素晴らしさを教えてやる。かかってこい!」


 僕は手招きして挑発する。冒険者達と僕はしばらく対峙する。

 戦士が持ってた長剣を振り上げ跳びかかってくる。


「「ヒッ!」」


 荷物持ち仲間達から悲鳴が漏れる。そうだな、コイツらも教育が必要だな。


「荷物持ちは、最強のスキルの内の1つだ。お前達もよく見とけ」


 多分こいつらは、ノータッチ収納は出来ないだろう。こいつらでも可能な戦い方を見せてやる。


 戦士が振り下ろした剣の腹にふれ収納して、あとは防具と服に触れて、ぱん1戦士が完成する。きったねーブリーフだな誰得だよ。とりあえず、軽く蹴り飛ばす。


「兄ちゃん!」


 ガリおっさんが叫ぶ。わかってるって。


 後ろに回りこんだ盗賊が背中から僕をダガーで刺す。残念だが僕に触れた瞬間にダガーはいただいている。


「タッチ収納は、練習すればどこでも出来る」


 振り返り、パン1盗賊を作り、軽くぶん殴ってやる。


「魔法だっ!」


 荷物持ち仲間の誰かが叫ぶ。


「ほう、ファイヤーボールか。中々いい魔法だな。だが、いただきます」


 飛んで来た火球に触れて収納する。


「ごちそうさまでした」


 僕はいただいた火球を再び出して、魔道士と僧侶の間に着弾させ燃やしてやる。炬燵の素晴らしさを教えるのが目的なので、ある程度服が燃えたところでエリクサーで消火してやる。




「どうだ、炬燵は素晴らしいだろう」


「「「はいっ、炬燵サイコーですっ」」」


 ぱん1で炬燵に入っている冒険者達は満足そうだ。


「この炬燵で、多くのリザードマン達が幸せになる。お前達はこれをないがしろにした。炬燵の有り難さをとくと心に刻め!」


「「「はいっ!」」」


 素直になってよろしい。


「……ザップ……」


「……モンキーマン……」


 なんかブツブツと荷物持ちの方から聞こえる。やっぱばれたか……


「魔法の収納は素晴らしいスキルだ。外れスキルと思われがちだが、修練と想像力で無限の力を発揮する。ここで知り合ったのは何かの縁だ。全員、俺が鍛えてやる」


 なんか、昔の自分を見ているようで少しイライラする。自信が無いのは力が無いからだろう。力を存分に与えてやる。メンターはまずは王都のパーティー『地獄の愚者』でいいだろう。最終的には僕直々に鍛えてやる。


 そして、全員で王都に引き返し、冒険者ギルドで『地獄の愚者』のメンバーを捕まえて、全て丸投げした。冒険者達は性根をたたき直してもらい、荷物持ち達はブートキャンプだ。


 ちなみに、ジブルに話を聞くと、


「全く、私達が関わらないで事業が成立するようにしないと、大きなビジネスにはならないわ」


 だそうだ。なんか解ったような解らなかったような。


 今回の炬燵はしっかりリザードマンの国に僕が運んで報酬を貰ったが、出所がアンとジブルだと思うと、なんかモヤモヤする。

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