荷物持ち仲間(中編)
「おい、お前達、降りろ」
しばらく、やたらガタガタする道を通り、僕たちは護衛の冒険者に馬車から降ろされた。
「しばらく休憩だ」
僕たちは思い思いに地べたに座る。お尻が痛いけど、立ってるとまだ揺れてるように感じるからだ。
僕たちの馬車は2台で、1台は冒険者達が乗ってて先行して、僕たちの馬車はその後をついて行ってた。
今いるのは、森の奥と思われる所に建っている寂れた屋敷だ。伸びた草や壊れた窓とかを見るに、ずっと使われてなかったかのように思える。
冒険者達は4人で、そのうちの戦士っぽい奴が肩で風を切って僕たちの方にやってくる。
「なぁ、ところで、魔法の収納を持ってる奴が死んだら、中身はどうなるんだ?」
僕たちはお互いキョロキョロする。そう言えば、どうなるんだろう。収納持ち自体が珍しいからどうなるか聞いた事ない。それにしても、しょぼいスキルの人ばっかだけど、よく、これだけの人数が集まったものだ。
「ああ、それならな、死んだとたんに、全てその場に中身は出てくる。昔、見た事がある」
口を開いたのはさっきのガリガリなおっさんだ。袋1つしか収納出来なかった人だ。
うおっ、そうなるのか。それならもし僕が死んだら、カオスだ。剣や槍が飛び交い、ドラゴンブレス、はたやメテオストライクまで出てくる事になる。阿鼻叫喚って奴だな。そして、夏にアンが買いだめしまくったアイスクリームが山を成す事だろう。大惨事だ。死ぬ気はないけど、もしそうなりそうな時は市街地は避けないと大災害になる。破壊を繰り広げた後、辺り一面アイスクリームでベタベタになる事だろう。喜ぶのはアリンコ位なものだ。
そんなどうでもいいことを考えていたら、冒険者達が集まって来た。武器を抜いている。盗賊でも現れたのか?
「それなら問題ないな。誰か1人、前に出て積荷を出せ。出さないなら誰か殺すだけだ」
ほう、これは新しい。護衛に雇われた冒険者自体が盗賊だったのか。盗賊だったというより、盗賊になったのかな? 多分、魔道具を持って他国にでも逃亡する気なのか? そして、収納持ちの人達は奴隷として売り払うつもりなんだろう。とりあえず、誰かが危険になるまで、この茶番を眺めとくとするか。
「はいっ! 出します!」
ガリおっさんが手を上げて立ち上がり、前に出て袋をだす。
「なんだ? 1個だけか? 隠してるなら殺すぞ」
戦士風冒険者が凄む。
「お恥ずかしながら、これだけしか入らないです。私は無能ですから、帰ってもいいですか?」
「まじか、まあ、こんな奴でも密売人が金を出すはずだ。大人しくしろ」
おっさんは座り、冒険者は荒々しく袋を開ける。
「炬燵?」
冒険者達の目が点になる。
袋に入っていたのはドラゴン印の炬燵、そうか、リザードマンの国に運ぶ炬燵だな。けど、なんでわざわざ他人に運ばせてるのだろうか?