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 メテオストライクを求めて(後編)


「かかってこいや!」


 僕の声が荒野に響く。


 多分声は聞こえていないけど、両手を使った大袈裟なジェスチャーで、カモンアピールする。

 見上げているかなり上空には豆粒のようなもの、導師ジブルが辛うじて見える。頑張ってるな、大丈夫か? 寒くないのか?

 そんな事を考えていたら、ジブルの横に大きな丸いものが発生する。僕の魔法の収納にしまっていた削り出した巨岩を、ジブルが収納の拡張スキルのポータルから出したものだ。それはみるみる大きくなり僕に迫る。さすが位置バッチリだ。そして、引きつけて巨岩を収納にしまう。理論上は、これを繰り返したら、立派なメテオストライクが出来るはずだ。

 

 ゴゴゴゴゴッ!


 数回繰り返し、多分5回かな? なんか風切る音は仰々しくなってきて、落ちてくるスピードは早くなってきたけど。足りない。これでは物足りない。熱さが足りない。熱さが。ホンモノみたいに炎を纏ってくれない。これじゃ只の落石だ。ロマンの欠片も無い。


「もしもし、ジブル、休憩だ」


 収納の拡張スキルのスマホで、ジブルに連絡する。


「え、もう出したわよ」


 落ちてくる巨岩を収納に入れて、作戦会議をする。


「なんか、燃えないな」


「燃えないわね……けど、大丈夫、私の心はメラメラ燃えてるから」


 んー、優等生タイプのジョークは面白くないな。


「解った。お前は燃えてるんだな。それならその情熱を岩に伝えてくれ」


「ねぇ、周りを炎の魔法で覆ったら駄目なの?」


「駄目だ。駄目だ。それじゃただの燃えた岩だ。メテオストライクじゃない。やっぱり何でもコツコツいくしかないのかな。ジブル、もっと上空から出してくれ」


「ったく、面倒くさいわね。燃えた岩もメテオストライクもたいして代わらないわよ。じゃ、もっと上からいくけど、着地点がブレるかもしれないから、そこはよろしくね」


 ジブルは風を纏い空に浮かぶ。そしてみるみる上昇し、点になり見えなくなる。


 ゴゴゴゴゴッ!


 おっ、来た来た。けど、まだ燃えてないな。収納に入れる。


 ゴゴゴゴゴゴッ!


 まだまだだ。


 ゴゴゴゴゴゴゴッ!


 なんか空気が暖かくなってきたような。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!


 おっ、来た来たっ!


「よっしゃあ、燃えてる! 燃えてる!」


 なんとか完成したな。ジブルに連絡する。


「もしもし、ジブル、出来たよ! 出来た!」


「えっ、出来たの? もう一発いっちゃったわよ」


 そう言えば、不覚にも終了の合図を決めて無かった。さっきもそれで、やらかしたのに……


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!


 なんか、音おっきいし、炎纏って岩、デカくなってるし……しかも、今までは、落下地点が僕からずれてたのに、今回はドンピシャ僕の上空だ。


「待て待て待てーっ!」


 もしかして、わざとなのか? 僕を殺す気なのか?


「シャーーーーッ!」


 気合を入れてなんとかメテオストライクを収納に入れる。やべぇ、爆風やべぇ! 

 なんとか爆風も収納に入れるが、熱い熱すぎる。こりゃやられてるな。収納からエリクサーを出して自分にかける。うわ、僕から湯気出てるよ。危なかった。


「ザップ、大丈夫?」


 空から幼女が飛んでくる。


「殺す気かっ! 大丈夫な訳あるか!」


「キャッ!」


 わざとらしく、ジブルは目を覆う。あ、全裸だ、服も髪のもっていかれてる。とりあえず、収納からミノタウロスの腰巻きを出して腰と首に巻く。これでまた散髪行かなくて良くなったな……


 魔法の収納のタブレットを出すと、収容物の名の所に『自家製メテオストライク』の文字が。体張っただけあって大成功だ。なんか『自家製』って言葉がついただけで、ポンコツ臭がするのは気のせいだろう。

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