メテオストライクを求めて(前編)
「メテオストライクってどっかに売ってないのか?」
僕は目の前の、今日は仕事がお休みで、炬燵でゴロゴロしている、見た目幼女の導師ジブルに問いかける。
まぁ、期待はしてないが。こいつがその魔法を使うのを見たことないから使えないと思うし、前の黒竜王騒ぎの時に魔道都市で使った者もいなかったから、駄目もとではある。
「ザップ、そんな簡単にメテオストライクが買えるわけないじゃない、そんなもんがどこそこに売ってあったら、世界が滅ぶわ!」
ゴロゴロを邪魔されたのが不愉快なのか、ジブルは不機嫌だ。
「あ、もしかして、お前が使えないからスネてんのかな? 導師様」
駄目もとだったけど、暇なので、軽く挑発してみた。なんか面白い返しをして欲しいものである。何だかんだで、コイツは真面目だから、そこもたいして期待してないが。
「そんくらいでスネないわよ。もう、今はメテオストライク使える人いないから」
やはりボケてはくれなかった。ん、メテオストライクってそんなに貴重な魔法だったのか? なんか前にスケルトンだかリッチだか忘れたけど、ボコスカ使ってきたから、どっかでまた補充出来るだろうと思ってたけど、勿体ない事したな。考え無しに使っちまったな……
「そっか、使える人いないのか……それに、そもそもメテオストライクの魔法ってどんな原理なんだ?」
むぅ、ジブルの話はつまんなくて長いのに、わざわざきっかけを作ってしまった。
「そうね、説明が難しいけれど、異世界から空から大地に降り注ぐ岩みたいなものを召喚するものと言われているわ。魔道理論は解るけど、私では適正がないから魔力が足りなくて使えないのよ」
おお、今日は簡潔だった。コイツも日々成長してるのだな。けど、やっぱり頭固いな。
「1人で出来ないなら協力したらどうだ?」
ふと、思いつきを口にする。
「それでも足りないわ」
確か、ジブルの魔力は相当なはず、それに魔道都市は魔道士の宝庫のはずなのに。
「そっか、そんなになのか……じゃ、使えないなら作れないのか?」
欲しくても売ってないものは、試しに作ってみるしかない。
「え、作る?」
ジブルは鳩が豆鉄砲な顔をしてる。ピンときてないみたいだな。
「お前が空から岩を落とす。俺が拾って収納に入れるを繰り返したらできんのじゃないか?」
「うわ、作るなんて考えてもみなかったわ。面白いわね、やるだけやってみましよう」
斯くして、僕と導師ジブルはメテオストライクを作ってみる事にした。