自重無し (余り)
「少し早いけど、クリスマスプレゼントだ」
僕は、マイ、ドラゴン娘アンと、見た目幼女の導師ジブルの頭にティアラを順番に乗っけていく。時間が無かったので、王都で買った安物だ。雰囲気があるからオッケーだろう。
これで、プレゼントをあげる事が出来て、しかもいろんな厄介事を押し付ける事が出来る。一石二鳥という奴だ。しかも出費はこのティアラだけ、しかも多分一生思い出に残るプレゼントだろう。
ここまでは、魔王リナに家からワープポータルをつなげて貰って3人を連れて来た。今いるのは瀟洒な小部屋で、南にある窓にはカーテンが引いてある。
「プレゼント? このティアラ? ありがとう?」
マイは小首を傾げている。安物でも礼を言うマイは健気だ。
「えー、食べ物じゃないんですか?」
ドラゴン娘はぶれないな。とは言ってもこれから見せるものを食って貰っては困る。
「なんか、嫌な予感しかしないですね……」
ジブルは鋭いが、決して嫌なものではないはずだ。むしろ女の子達の夢だろう。特に若干少女趣味のジブルには好物だろう。
「いや、本当のプレゼントはそれじゃない。本当のプレゼントは、これだっ!」
僕は勢いよくカーテンを開ける。1人じゃ上手く開けられないので、カーテンの裏に待機したリザードマンに手伝って貰っている。
「「「オオオオオオオオオオオオーッ!!」」」
カーテンを開けると、外に集まったリザードマン達が歓声を上げる。割れんばかりの大音声だ。
「お前たち、この3人が新しい王だ!」
僕はバルコニーに出て大声で叫ぶ。ここはリザードマンの王城の3階。目の前の広場には新しい王を見ようと数多のリザードマンが押しかけている。事前のリハーサルで、今までは声を押し殺してもらっていた。
「「「オオオオオオーッ!!」」」
リザードマン達からまた歓声が上がる。
「え、なんなのコレ?」
マイもバルコニーに出て来る。それにアンとジブルも続く。
「俺からのプレゼントだ。リザードマンの王国を3人にプレゼントする。これからは、3人仲良くリザードマンのプリンセスとして頑張ってくれ」
3人の呼び方はクィーンが妥当だとは思うが、女の子はプリンセスに憧れるものらしいので、その呼び名にした。
「「「プリンセス!プリンセス!プリンセス!」」」
リザードマン達が、プリンセスコールで祝福する。
マイ達3人は引き攣った顔で、リザードマン達に手を振っている。多分、訳わかって無いんだろうな。
リザードマンのブリンガ王とは戦いの後話し合い今後の方針を決めた。
僕が収納ポータルを渡したリザードマン将校たちは優秀で、エリクサーを違う容器に移して大人数で回復させていくという作戦で数多くのリザードマンを救った。そのお陰と、実力主義のお陰で、僕に対しては尊敬こそあれ、遺恨はないそうだ。
僕は王などになるつもりは無かったのだが、ブリンガ元王はしつこく、やむなく身代わりを立てる事にした。それで思いついたのがこの3人だ。リザードマンは戦いに強い者が王になるそうなので、この後、ブリンガ王とマイ達は順次戦う事になる。
それと、リザードマン達が国境近くに軍を集めていたのは、王国への侵攻略奪予定だった。今年は食糧難で、このままだと冬の備蓄が心もとなく、やむを得ずの決断だったそうだ。けど、これは簡単に解決出来た。他国との貿易で国自体にはお金はあるのだが、食料を輸入しているのはほぼ王国からで、王国自体は物価が高く物自体が少ない。それで食料が安いリナの魔国や、東方諸国連合から直接買い付ける事で賄えそうだ。リザードマンの国には希少金属の鉱山や迷宮があり、そこから発掘したものを売ってるという。
「じゃあ、後は頑張れよ!」
僕はリナのワープポータルに逃げ込む。しばらくはどっかに雲隠れするつもりだ。
けど、数日後、迷宮に隠れていた所を見つかり、こってり絞られた。最終的には、リザードマン王国はそのままブリンガ王に統治してもらって、色々僕たちが手伝う事で落ち着いた。
ちなみに、ブリンガ王は3人に徹底的にやられて、マイ達はしっかりリザードマンのプリンセスになったそうだ。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。