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 欲しいけど要らない(前編)


「欲しいけど、要らないわ」


 マイはネックレスから目を離す。僕らは今、2人で王都のジュエリーショップに来ている。意図して2人で来ている訳ではなく、ドラゴン娘アンは炬燵こたつに引き篭もっていて、幼女導師ジブルはお仕事だ。

 何をしに来ているかと言うと、先日潜ったダンジョンで宝石を幾つか見つけたので、それを売りに来ている。

 冒険者ギルドでも買い取ってくれるのだけど、今の時期は直接ジュエリーショップに売った方が高く売れるとの事でここに来た。なぜ今の時期はそうなのかギルドの職員に聞いたけど、悲しそうな顔をして理由は教えてくれなかった。

 けど店に来て、その理由は一発で解った。多いのだ、カップルが。芋洗い状態でカップルがイチャつきながらウヨウヨいやがる。くっそー、イライラする。けど、なんかカップルの男の方が僕たちをするどい目で見ているような? あ、マイを見てるのか。そうか、よく考えると僕たちもカップルにしか見えない。しかも、何故かマイは今日はお洒落をしていて、僕もキチンとした身なりを強要された。マイはかなり目立つ。猫耳も王都では少ないし、それよりも整った顔立ち、少し痩せてるのにメリハリのあるプロポーション、あと雪のように真っ白な肌は男共が二度見をするくらいだ。僕の中では首狩り族でしかないのだが、普通の格好をしてきたら、なんかこっぱずかしいけどマイはかなり可愛い。まぁ、口には出来ないが……

 注目されている事に優越感を感じながら店内をウロウロしていると、マイが1つのネックレスの前でしばし止まった。


「ん、欲しいのか?」


 何気なく尋ねる。


「欲しいけど、要らない」


 マイは軽く微笑むと歩き始めた。


 そして、色々見た後、僕たちは売るものを売って店を後にした。


 そのあと、食材など色々買い物して帰宅して、僕は考える。


『欲しいけど、要らない』


 これってどういう意味だ? 訳が解らない。


『欲しいけど、高過ぎるから要らない』。いや、かなり高額なものだったけど、僕もマイも手が届く金額ではあった。


『欲しいけど、ザップに買って貰うくらいなら要らない』。そう言う意味だったら、僕は泣ける自信がある。明日の朝、起きたら枕は湿気ってる事だろう。そうでは無い事を祈る。

 むむ、考えていても埒があかない。誰かに相談しようにも、いつも相談するマイには相談できないし、近くにいる女の子の事を思い浮かべても、脳筋バトルジャンキーしかいないしな……



 誰かいないかな? 常識人……



 

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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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