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 荷物持ちの妹来る(5)


「確かに俺の回りには、幼女や童女が多い。けど、決して俺はロリコンじゃないからな!」


 ザップはそう言うと、一気にご飯を食べ尽くした。


「美味かった。じゃ、素振りに行ってくる。みんな仲良くしろよ」


 そそくさとザップは逃げ去った。まあ、ご飯は美味しかったみたいで良かったわ。


 残ったあたしたちは、気を取り直し、ゆっくり食事を楽しむ。


「ごちそうさま。じゃ炬燵こたつに帰ります」


 まずは、アンちゃんが消えて行った。


「お仕事行ってきますねー!」


 ジブルも消えて、残ったのはあたしとティタだけになった。どうもあたしとティタが険悪な空気を出してるのでみんな逃げ去った感がある。

 あたしは、ティタと2人で、なんかギスギスして気まずい食後のコーヒーを飲む。


 しばらく静寂が辺りを支配し、それを破ったのはティタだった。


「お兄ちゃんは、私が連れていくわ」


 ティタはゆっくりと話し始める。


「お兄ちゃん、『ゴールデン・ウィンド』って言うパーティーにいたって聞いたけど、そのパーティーって居なくなったんでしょ」


 帝国にもその話は伝わってるのね。


「ザップはそこから追放されて、勇者をやっつけたのよ」


 あたしは補足する。


「そんなの作り話に決まってるじゃん。お兄ちゃん、弱いし。なんか色々脚色されてるんでしょ」


「え、ザップが弱い? 何言ってるの?」


「昔、盗賊に摑まったのを私が助けてあげたのよ。なんか有名なパーティーの世話になってるって聞いたから安心してたけど、今は貴方達が養ってあげてるんでしょ。けど、もういいわ。お兄ちゃんは私が面倒見るわ」


「それは困るわ、ザップはあたしたちと暮らしているのよ」


「困るってそれはあなた達の都合でしょ?お兄ちゃんは私と一緒に暮らした方が幸せだと思うし、私にはお兄ちゃんが必要なの」


「あたし達にもザップは必要よ」


「…………物わかり悪いわね。そうね、いいわ、それなら勝負しましょう。あなたにお兄ちゃんを任せられるか試させてもらうわ。ルールは簡単。先に相手の顔に平手打ちをしたほうが勝ち。では、始めるわね」


 一方的にそう言うと、ティタは立ち上がった。


「待って、あたしは引き受けるとは言ってないわ」


「じゃ、それなら問答無用でお兄ちゃんを連れてくわよ」


「しょうが無いわね。泣いたって知らないわよ」


 なんか変なスキルを使うけど、所詮学生。なんか勘違いしてるみたいだから、それを正してあげる事にする。


「初めてもいいのかな?」


「かかってくれば」


 ティタはあたしに手招きをする。はい、終わり。あたしは手加減してティタに平手打ちを放つ。


「えっ?」


 あたしの手はティタの頭があった所を空振りする。ティタの頭があった所は何も無く、首から下だけが存在している。気持ち悪い。ティタの右手があたしに襲いかかる。余裕をもってかわして距離を取る。


「なかなかやるわね。と言う事はあなたがモンキーマン・ザップの正体ね」


 ティタの頭は元通りついている。なんか見当違いな事と言っているけど、口で言っても解らなそうなので、実力行使有るのみね。んー、こういうとこザップに影響されてるなぁ……

 まずは鑑定。見たことの無いスキルを解析してみる。


『【チェシャキャット】使用者の体を疑似精神世界アストラルワールドに移動する。疑似精神世界ではこの世界に干渉出来ないが、この世界からも干渉されない。疑似精神世界に移動出来るのは生物のみ。触れている者も一緒に転移出来る』


 ん、ナニコレ? 訳わかんない。けど、強力なのは解る。要は消えたら攻撃されなく攻撃出来なくなるって訳ね。解析した時間は一瞬、ティタが口を開く。


「本気で行かせてもらうわね」


 ふわさっ


 ティタは消え去り、宙に残った服が床に落ちた。これってもしかして結構やっかいなんじゃ?


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