荷物持ちの妹来る(2)
「何をしてたのかって、お兄ちゃんに会いに来たに決まってるじゃない」
ザップ妹はシーツをまた纏い、軽く微笑む。
可愛い。
似てない。
ザップに微塵も似てない。本当に兄妹なの?
あ、そう言えば、妹とは血が繋がって無いって言ってたような?
「解ったわ。会いに来たのは、まあ解るけど、なんでベッドに裸で転がり込んでたの?」
「なんでそんな事をあなたに言わないといけないの? あ、もしかして羨ましいの? それならあなたも裸で布団に転がり込めばいいじゃない」
「な! そんな事出来る訳ないじゃない!」
あたしは、顔が熱くなるのを感じる。なんかペースを乱されるわ。
「それより、そう言うあなたこそ、何者なの?」
「あたしは……」
言葉に詰まってしまう。あたしはザップの何なんだろう?
家族?
違うような気がする。
恋人?
それも違う気がする。ずっと一緒に暮らしているけど、なんの進展も無いし、一緒に暮らしているのは、アンちゃんもジブルも一緒だし。あたしはザップの何なんだろう。やっぱり、無難な所で、仲間? パーティーメンバー? けど、パーティーと言っても、あたしたちにはパーティー名ないし。
「ちょっと、あなた大丈夫? 何考え込んでるの? あ、解った。あなたお兄ちゃんの家政婦さんね。お兄ちゃんを狙っている。まあ、お兄ちゃんモテないけど、何て言うか人の心をグッと鷲掴みにするような事をサラッとするのよね。要はお馬鹿なんだと思うんだけど、え、あなた大丈夫?」
「……家政婦……さん……」
ダメだ。家政婦さんって言葉があたしの心を深く抉った。なんかザップ妹がくどくど喋っていたけど、あたしの耳には届かなかった。
家政婦さん……
もしもザップもあたしの事を家政婦さんって思ってたら、立ち直れない気がする。けど、よく考えると、あたしがしてる事は家政婦さん以外の何者でもないような……
けど、家政婦さんならまだマシな方なんでは? よく小説とかでは、主人公と家政婦さんが恋人同士になったりしたりするし。きゃーっ!
それにアンちゃんなんて何もしないで炬燵の中にいるだけなので、家政婦以下、いうなればドラゴンだしペットのようなものなのでは?
それよりはまだ良い気がするけど、よく考えたら、家政婦よりペットの方が待遇が良い気がする。何もしなくていいし。んー、複雑だわ……
「ちょっと、大丈夫? へこんだりニヤけたりして」
「あ、ゴメン、つい考え込んじゃって」
「おーい、入ってもいいか?」
ドアの外からザップの声がする。あ、そうだこの娘に服を着せようと思ってたんだった。
「ザップ、待ってて」
あたしのは大きいし、アンちゃんのは胸がきつそうだし、ジブルのは論外ね。
「じゃ、お洋服とってくるわ」
ふわさっ
「えっ?」
あたしの目の前でザップ妹は消え去って、シーツが床に落ちて行った。