第六十話 荷物持ち気付く
馬車に商人とポルトが乗ってあとの3人は歩いている。そしてその後ろを僕達3人が歩いている。
ポルトは僕達にも馬車に乗らないかと誘ったけど断った。歩く速度で走る馬車に乗っても、歩くのと何ら変わらないからな。
それに微妙にポルトがマイとアンを狙っている感がある。なぜか少し腹が立つ。
「昨日ね、ザップね、あたしの事を『俺様のマイ』って言ったのよーっ。キャー!」
なんかマイがくねくねして一人芝居をしてる。とりあえず、ほっとこう。
「ご主人様は私の事も『俺様のアン』っておっしゃっていただけました。きゃー」
アンもマイの真似してくねくねする。なんか馬鹿にしてる感が伝わってくるいい動きだ。
「ちょっと、露出狂トカゲ、喧嘩売ってるの?」
マイも変わったものだ。初めて会った時のマイは僕に隠れてついてきて、置いてかないでって泣く健気な少女だったのにな……
「マイ姉様、誇り高きドラゴンをトカゲ呼ばわりは許せませんね! そろそろ一回どちらがより強く、ご主人様にふさわしいか決着つけましょうか?」
アンも泣きながら土下座する、草食動物のような目をした少女だったのに、変わったものだ……
「やめとけ、やめとけ、2人ともすこし前までは泣き虫だったのに、なんでそんなに血の気が多くなったんだ?」
「それはザップのおかげよ」
「それはご主人様のおかげです」
それもそうか、寝てる時以外戦い続けたからな……
話を逸らすために、ポルトに話しかけることにする。
「ポルト、お前は何してんだ?」
「馬車に乗ってる」
「お前雇われてんだろ、せめて御者くらいしろよ」
「すまん、出来ないんだ」
「そっか、お前ボンボンだったんだな、よく冒険者務まるな」
ポルトは憮然とした顔になる。まったく、子供かよ。
「いやぁ、私は護衛してくれるだけで十分ですよ、大したお金払ってないですし」
商人のガイルさんが答える。
「なんか、ガイルさんの方が護衛にみえるぞ。お前、鎧も新品だし、俺のマントでも売ってやろうか、箔がつくぞ銀貨3枚でいらないか?」
少しポルトをからかってやるが、ポルトは笑いもしない。むしろ驚いている。
「いいのか? ぜひ、売ってくれ!」
ん、おかしな事になったな、本気でこのぼろ皮を買ってくれるのか? 僕は収納から腰巻きを1つ出してポルトに売ってやった。よし、これで通行料が払える。
「リーダー、歴戦の冒険者みたいですよ」
スキンヘッドの武闘家が腰巻きをポルトに上手く巻いてやった。本当に手のかかる奴だ。子供かよ。
「そうか! いい感じか?」
ポルトは嬉しそうだ。ここまでくれば鈍い僕でも解る。実はポルトはどっかのボンボンで、護衛されてるんだな。そして、あとの4人が護衛か使用人なんだろうな。
気付かなかったことにして、他の4人にもサービス価格で腰巻きをすすめたが、誰も買わなかった。まあ、当然か。
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