ホットヌードル
「やはり担々麺だろう。辛さと旨味、最高だ」
改築が終わった家のリビング。僕達は暖かい麺で何が1番美味しいかと言う話になった。僕は1番は担々麺だと思う。
「うん、担々麺も美味しいけど、あたしの中では豚骨ね。こってりとしたスープ。最高よ」
何っ、マイは豚骨なのか?確かに豚骨も美味い。けど、担々麺は素晴らしい。
「私は実は醤油派です。当然、担々麺も豚骨も大好きですけど、麺を愉しむには醤油が1番ですね」
なんとアンは醤油派なのか?こいつにはこだわりは無いと思っていた……
「皆さんまだまだ子供ですね」
1番見た目子供の導師ジブルが口を開く。
「1番美味しい暖かい麺は」
ジブルが言葉を溜める。なんか嫌な予感がする。とりあえず収納からポータルを出してジブルの頭の上に出現させる。
「え、なんなの?」
マイがじれて催促する。
「1番美味しい暖かい麺は、ザー、あばばばばばっ」
なんとかセーフだ。僕はジブルの頭上のポータルから大量に水を出してやった。こいつはなんて事を口走ろうとするんだろう。下品すぎる。
「ザップ、何してるの家が水浸しじゃない!」
「大丈夫だ」
僕は出した水を一滴残らず収納に入れる。
「もうっ、服がびしょ濡れじゃないですか」
「お前が変な事言おうとするからだろう」
「変な事って何、ザがつく麺、ザ麺?」
マイの口から危険な言葉が飛び出しそうだ。これは話題を変えないと。
「そもそも変な事ってなんですか?私はザ・塩ラーメンと言おうとしただけですよ」
嘘だ。けど、そういう事にしとこう。マイとアンの教育に悪い。
「塩ラーメン?何度かいろんな所で食べた事あるが確かに旨いが、普通だと思うぞ」
「それは残念ですね、美味しいお店に行った事無いんですね。美味しい塩ラーメンってほんっとに美味しいですよ」
「それは興味深いですね。私も美味しい塩ラーメンは食べた事無いです」
「では行きますか。今から。最高の店のそばにリナさんのワープポータルを繋いでるんですよ」
「まじか、行こう行こう」
斯くして僕らはジブルに連れられて塩ラーメンを食べに行く事になった。当然ジブルは水浸しだったので服は着替えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「なんじゃこりゃあ!」
僕達の前に運ばれて来たのは丼の上に蟹さんが乗っている。野菜の上から真っ赤になった蟹がこっちを見ている。
僕達が連れて来られたのは名前は聞いた途端忘れたけど、東方諸国連合の北の海縁の町だそうだ。店を見つけたのは魔国の人魚ナディアだそうだ。ナディアとジブル、仲いいんだな。
「蟹の殻は飾りです。よけて食べて下さいね。足の中の身を食べるかどうかは自由ですよ」
ジブルに言われた通りに殻を取ると、下には澄んだスープの野菜たっぷりのラーメンが現れた。
「早く言って下さいよ」
お約束で、既にアンは蟹の殻を食べ尽くしている。
「なにこれ、美味しい、本当に……」
マイがうっとりしている。僕も急いで麺を口に含む。
美味い!
これは最高だ!
だが決して塩ラーメンが美味いのではない。蟹の旨味が出たこの蟹塩ラーメンが美味いのだ。味はシンプル。塩となんかの出汁に蟹の旨味が濃縮されている。
本当に美味いものを口にした時、人は口をつぐむ。僕らは黙々と食し、蟹の足を割ってその中まで頂いた。当然アンは足も殻ごといっていた。
「ごちそうさま。けど、塩ラーメンが最高なのではなく、この蟹塩ラーメンが最高なだけだ」
「それって塩ラーメンが最高って事ですよね。ここにはまだ海老塩ラーメンもありますよ」
想像する。うん、間違いなく海老塩ラーメンも最強の一角になるはずだ。
「まあ、いいじゃない。何が1番かなんて。ここの塩ラーメンは最高だったって事で」
「うん、そうだなマイの言うとおりだ。ありがとうジブル」
「海老塩ラーメンお願いします」
いつの間にか席を離れたアンが注文している。僕達はもう満腹なのに……
少し分けてもらった海老塩ラーメンも素晴らしかった。担々麺屋さんと同様にここにも出前ポータルを置かせてもらったけど、この塩ラーメンは新鮮な蟹や海老が捕れないと出せないそうだ。
僕達は大満足して店を後にした。
昔食べた蟹塩ラーメン最高でした。今度作ってみようと思います。あと魚介系だとフランスで食べた、オマール海老をトマトと唐辛子で煮こんだものに麺が入ってたのも最高でした。
因みに個人的には濃厚な焦がしニンニク油ののった豚骨ラーメンが好きなのですが、脂が多過ぎてお腹をこわしちゃうのて滅多に食べないです(T_T)
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