スナイパー
「ふごっ!」
いきなり頭を殴られたかのような強い衝撃が走り僕は声を上げ吹っ飛ばされる。
何が起こった?何か小さいものが側頭部に衝突したみたいだ。
「ザップ!」
「ご主人様!」
「ザップさん!」
マイ、アン、ジブルが駆け寄って来る。
「大丈夫だ」
僕は身を起こす。
辺りに怪しい人物は居ない。遠距離攻撃か?即座に仲間の周りに収納の結界を作る。これで何が飛んで来ても収納に入るだけだ。
ヒュン
風を切る音と共に、収納に何か飛び込んで来る。タブレットを出して何か確かめる。金属片、紡錘形の金属片だ。遠くからこれを放って僕を攻撃しているみたいだな。
「マイ、アン、建物に入れ、ジブルは骨になれ!」
「「はいっ」」
マイとアンはギルドの建物の中に戻る。
「骨?解りましたっ!」
ジブルはスケルトンにチェンジする。スケルトン状態のジブルは無能だけど不死身だ。けど索敵能力はある。
「白昼堂々襲いかかって来た事を後悔させてやる!」
だいたいの攻撃された方向は解る。骨ジブルを抱えて走り出す。
「マイ、アン、戻って来るまで待っとけ。すぐに戻る!」
「ザップ、気をつけて!」
「ご主人様、待ってます」
僕はマイとアンを1度見ると駆け出した。
走りながら僕は考える。今回の敵はやばすぎる。運良く狙われたのが僕だったから良かったが、マイだったなら、多分死んでいる。僕も運良く頭だったから助かったが、目とか口とかに命中してたら命を失ってたかもしれない。いくら僕でも収納の結界を常時展開は出来ない。こいつは絶対逃がす訳にはいかない。安寧の日々を過ごすためにも。
前回の黒竜王との戦いのおかげで、僕の空間把握能力は格段に向上した。さっきの攻撃で、金属片の飛来した角度方向から敵の攻撃地点をだいたい割り出した。
ヒュン
また金属片が僕に襲いかかる。危ねー、結界が無かったら、確実に僕の目を狙っていた。素晴らしい能力だが、確実に抹殺する。
ここだ。
ついたのは、ぼろぼろの建物。五階建てくらいはありそうだ。立ち入り禁止の札がある。僕の計算ではここから攻撃されたはず。けど、最初に攻撃された冒険者ギルドの建物の前から1キロは離れているのではないか?
「ジブル、中に人はいるか?」
『待って下さい確認します』
待つことしばし、死骸のようになったジブルが再び口を開く。
「1人、ごついオッサンが隠れてます」
「でかしたジブル!」
僕は言うなり建物一帯全てをまるっと収納に入れる。
「うおおおおおーっ!」
空から裸のオッサンが降ってくる。
気持ち悪いシチュエーションだけど、そのまま墜落死するのをみるのはしのびないので、その下に駆け寄る。一瞬、オッサンと目が合った。
ドゴムッ!
僕の上でオッサンが爆発する。僕は即座にその場から離れる。まさか自爆するとは……
『凄い精神力ね、高い所から落ちたら、途中で普通の人は失神するって言うわ。多分、それだけの覚悟を持った者……』
「恐ろしい奴だったな。運が悪かったらやられていたな」
『イレブン。遠くから金属片を放って暗殺を請け負うプロフェッショナル。多分殺し屋イレブンよ。今まで失敗したことが無いと言われてる殺し屋で、ザップさんが始めてよ、狙われて生きてるのは』
「そうか……」
殺し屋に狙われるとは……
身に覚えがあり過ぎる。
僕は建物を元に戻すと爆発音を聴いて駆けつけた衛兵に詳細を説明して、マイ達が待ってるギルドに戻った。
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