焼き肉食べよう!
「じゃあ、あとは、これとこれもよろしくね」
マイがメイド姿の忍者ピオンにメニューを指差して注文する。
今日は魔物討伐で結構稼いだので、家の隣の『みみずくの横ばい亭』で贅沢して焼き肉を食べる事にした。
メンバーは、僕とマイとアンと導師ジブル。
今日のMVPはなんとジブルだ。索敵能力があるジブルは戦闘能力は僕達の中では1番低いけど、こういう時には光り輝く。調子に乗るから僕は褒めないけどね。
ここの焼き肉は絶品で最近は大人気だ。特に熱した斧の上で肉を焼いて食べる『最強の荷物持ち風斧焼き肉』はその珍しさもあって頼む人は多いらしい。もっとも、僕達は辛かった迷宮暮らしを思い出すので、基本的には七輪に網で焼き肉を愉しませていただいている。
ちなみに肉がおいしいのは訳がある。ここで働いているラパンは僕と同じく経時劣化しない魔法の収納持ちなので、お店の切ったお肉はそこで保管してある。すぐに出せてしかも全く鮮度が落ちないというチート焼き肉だ。その収納能力は管理者登録させる事で数人の他の人にも貸し出す事が出来るので、店主のマリアさんを含む数人がタブレットという魔法の板を使って自由に出し入れ出来る。
肉だけではなく様々な料理も収納してあるのだが、基本的にはサラダや焼き肉などの冷たいまま出す料理以外の温かい料理は、調理長のこだわりでその場で調理して出しているそうだ。
僕達も家でたまに収納に保存してある料理を食べる事もあるが、その場でマイが料理したものより幾分味が落ちる気がする。
「食べるだけじゃなく、その場所の雰囲気、あと作ってる過程とか色んなものが組み合わさって美味しいって感じるものなのよ」
マイに理由を聞いたら、そう言ってたけど、本当にその通りだ。料理って魔法並みに不思議なものと言うより、もはや魔法なんだなと感じたものだ。
マイが頼んだ肉がどんどん運ばれてくる。焼き肉の注文はマイに一任だ。肉の名前って、『しんしん』とか『亀の子』とか言い間違ったらやばそうなものや『めがね』や『ネクタイ』とか明らかに食べ物では無い名前がついていたりとかで正直訳がわからない。しかも同じもので地域によって違う名前がついていたりする。
網の上で肉をどんどん焼いていく。ここでもマイが奉行だ。僕達は焼けた肉を振り分けられ口にしていく事になる。
「はい、まずはザップから」
最近僕を立ててくれるのは、もはやマイだけのような気がする。僕はカルビの1番焼き肉を口にする。
やばい!
美味い!
最高だ!
噛み締めた肉はやわらかく、そこからは旨味に溢れた甘ささえも感じる肉汁が口に広がる。僕は目を閉じてその味を楽しみ、そして呑み込む。その味の余韻を残したままキンキン冷えたエールを口に流し込む。
ああ、エールが美味い!
仕事の後の焼き肉とエール。
最高だ!
ちなみに今のカルビのお肉の名前はフランケンと言うらしい。
ごっゴーレムなのか?
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