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 ドラゴン娘とミノタウロス王

 まだ、アンちゃんが、アイちゃんと呼ばれていた頃のお話です。『第四十話 荷物持ち理不尽を感じる』の後のお話です。


「ご主人様、ここは私に譲って貰ってもよろしいでしょうか?手出しは無用です。私の雄姿をそこでとくと眺めていて下さい」


 ドラゴンの化身アイは幼い顔に似合わない不敵な笑みを浮かべて前にでる。


「いいだろう、けど、本当にやばくなったら加勢するぞ」


 本当は僕がいきたい所だが、自分の実力を鑑みて、まだ足りない。

 前回の戦いを思い出し、頭の中でシミュレートするが、互角だ。あいつと1対1で戦ったら運否天賦。僕とあいつのどっちが勝つかは解らない。

 だから今回はみんなで戦う予定だったが、アイがそこまで言うのなら任せてもいいだろう。


「アイちゃん、これ使って」


 マイが僕のハンマーを差し出す。


「マイ姉様、今回はそれは不要です。私はドラゴン。拳が剣、体が鎧です。父祖より受け継ぎし私の卓越した闘技を披露致しましょう」


 アイはそう言うと片足と片手を上げた構えを取る。なんて言うか、東方の武闘家みたいな構えだ。胡散臭い。


「判ったわ、じゃ、アイちゃん頑張ってね」


「フフッ、了解です」


 アイはそう言うと片手を上げてミノタウロス王の方に歩いて行った。


 

 ここは『太古の迷宮』、またの名を『原始のダンジョン』の地下49層の奥。マイとアイと合流した僕達は魔物を狩り続け、残す所は後1体。この迷宮で2番目に強い魔物ミノタウロス王を眼前にして、誰が戦うか協議していたところだ。


 アイとミノタウロス王が対峙する。アイは胡散臭い拳法のような構え、ミノ王は巨大な無骨な斧を手に軽く前かがみになっている。明らかに何処からでもかかって来いというような余裕の態度だ。


「いきますっ!アチョーッ」


 怪鳥のような叫びを上げアイがミノ王に蹴りを繰り出す。


 ザシュッ!


「あっ、痛っー!足が、私の足が……」


 さすが体が鎧と言うだけはある。ミノ王の渾身の一撃を食らったのにも関わらず足は大きく切り裂かれただけだ。けど、そんな気もしたがやっぱり雑魚ドラゴン。口だけかよ。

 もしかしたらミノ王の方があいつより強いんじゃ?本当のこのダンジョンのラスボスはミノ王だったのでは?

 ドラゴンだからそうそう死なないとは思うが、加勢した方が良さそうだ。


 ガキーーン!


 ミノ王の大斧の振り下ろしをアイは転がりながらかわす。斧は大地につき刺さり、ミノ王はそれを捨ててアイに飛びかかる。しばらく2人はもつれ合い、加勢に入るタイミングを失う。ミノ王がアイのマウントを取り、殴る殴る殴る。


「あばばばばばっ、なにコイツ強すぎっ!」


 アイは下からミノ王を殴るが全く効いていない。拳が剣じゃなかったのかよ?その剣は木刀以下か?


「ザップ、加勢するわよ」


 マイが駆け出す。


「ああ」


 僕とマイは2人を挟んで武器を構える。


 ぱーーーーん!


 ん、拍手?


 ごおおおおおおおーっ!


 アイの吐き出した火炎が一瞬にしてミノ王の頭を消し去った。


「らくしょーっ!」


 立ち上がったアイがボコボコの顔で両手を上げて勝利アピールしている。


「「嘘つけーっ!」」


 僕とマイの言葉が完全にシンクロした。


 なんて汚いやつだ。猫だましからのドラゴンブレス。これは勝ったとは認めない。こいつは再修行だな。エリクサーでアイを回復させて、次に魔物達が湧くまでみっちりと戦闘訓練をした。



読んでいただきありがとうございます。


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