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 騎士の突き


「せいっ!」


 僕の会心の突きがアンジュを捉えた。そう思ったが感触が無く、僕の右手は弾かれて持っていた木剣はクルクルと宙を舞う。


 ガンッ!


 右の脇腹に衝撃が走る。またやられたか……


 やはり剣対剣の戦いで、力をセーブした僕ではアンジュに手も足も出ない。


「少し休憩でもするっすか?」


 アンジュはフルフェイスの兜を外す。赤い髪がこぼれ出る。頭を振るアンジュに少し見とれてしまった。話し方さえ変えれば結構いい感じなのに残念だ。


 アンジュと目が合い、僕は頷くと落ちた木剣を拾いに行く。


 最近1週間に1回ほど、アンジュに剣の手ほどきを受けている。せっかくいい剣を持っているのだから、そこそこに剣も使えるようになりたい。

 構えや体捌き、初級の型など一通り教えて貰って、今はフルプレートメイルに木剣で実戦に近い訓練をしている。木剣は細め樫の木でジャストヒットしたら折れる位の弱いものを使っている。ここまで重装備じゃないともしもの時に大怪我をしてまうかもしれないからだ。特に突きによる事故を避けたい。大概の怪我は収納に入っているエリクサーで回復できるが、事故で剣が目にささって脳を損傷したらもしかしたらもあるのでフルフェイスも着用だ。みんなはやり過ぎとは言うが、正直剣術の訓練で命を落としたりしたら本末転倒も甚だしい。


「ザップさんはですね」


 しゃがんで飲み物を飲んでたアンジュが口を開く。彼女も汗だくで髪の毛をの幾つかが額に貼り付いている。


「欲張りだと思うんすよ」


「俺が欲張り?」


「一撃一撃で相手を倒そうと思ってるでしょ」


「そりゃ、そうだろ、その方が効率的だろ」


「それはそうっすけど、相手が弱い時はそれがいいと思うっす。けど、互角や強い時はジリジリ相手を消耗させて、それから畳みかけたがいいと思うっす」


 アンジュは立ち上がると兜をつけて木剣を構える。


「ザップさんが上達するには『突き』が早道だと思うっす。昔の剣聖の言葉ですけど、実戦で突き一撃で相手を倒せた事はほぼ無く、だいたい三撃は放ったそうっす」


 アンジュは空に向かって突きを放つ。流れるような三連撃だ。これは間合いを取るしかかわす方法は無いな。


「ザップさんの突きは一撃で相手を倒そうとしてるっす。突きは強烈ですが攻撃面が少ないのですぐかわされるのが弱点っす。しかも狙う頭部は目がついているので当たりにくいっす。今のような連撃も意識してみましょう」


「ああ、ありがとう」


 そして僕らは練習を再開する。連撃を意識すると、攻撃後即座に攻撃出来るように突きを引く事の大切さが見にしみた。


 何本も何本も木剣を折り、やっと三連突きの最後がアンジュの兜に擦った。


「さすが、ザップさんっす。久しぶりに剣を当てられたっす」


 アンジュが屈託ない笑みを浮かべている。正直嬉しい。剣術においてはアンジュは強い。何年も何年も修行してきたのだろう。そこで掴んだ大事なものを僕は少し分けてもらった気がする。


「ザップ、アンジュ、ご飯よー!」


 マイが呼んでいる。今日はここまで。また稽古つけてもらおう。


 剣聖の言葉は幕末の新撰組の方が言ったと言われてる言葉です。


本日も、読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。


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