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 マイとアンと王国第1王子

 次は第一部71話のマイSIDEです。


「おやおや、目が覚めたのかい、子猫ちゃん達」


 くぐもった食べ物を口にしながら話したかのような声がする。

 あたしが目を覚ましたのはふかふかなベッド、天蓋って言うのかひらひらしたのが上に見える。隣に温かい感触が、見るとアンちゃんだ。幸せそうに寝てる。あたしは揺すって起こす。


「お腹いっぱいですって。もうお肉じゃなくて甘いものでお願いします」


「アンちゃん、寝ぼけてないで起きてーっ!」


「はいっ?マイ姉様、ここはどこですか?」


 アンちゃんは跳ね起きると辺りを見渡す。


「あたしも何が何だか」


 おぼろげに思い出す。そう言えば、ザップ、ザップはどうしたの?


「ゲヒヒヒヒヒヒヒヒッ。いのう、愛いのう。やっと目が覚めたか子猫ちゃん達」


 声のする方を見る。豚人オーク?ヒキガエルの化け物?

 そこには波打つ肉に覆われた、気持ち悪い生き物がいた。そいつはソファに寝そべり、濁った目でこちらを見ている。


「あなたは誰?」


「ヒヒッ、わしは王、王になる者じゃ。主らのあるじじゃ」


 あたしは何をしてるのだろう?確かあたしはザップを庇って……


 もしかしたらここは地獄?あたしは地獄に堕ちたの?


「おい、豚、ご主人様は何処だ?」


 アンちゃんが気持ち悪い生き物に尋ねる。


「ご主人様?お前のご主人様は儂じゃ」


「寝ぼけるな。私のご主人様はザップ様だ!」


「ん、ザップ?もしかしてアレフに切り捨てられた奴の事か?あやつなら今頃は牢におるはずじゃ。そうか、あやつが心配か?あやつを助けたくば、お主らは心身ともに儂の奴隷になるのじゃ」


「嫌よ、なんであんたなんかに!」


 あたしは立ち上がり、構える。こいつは触りたくないけどぶちのめす。


「元気な子猫ちゃんじゃのう。けど、儂に逆らうとザップという奴は死んでしまうかもしれんぞ」


 話の内容から、多分こいつは王族、しかもかなり上位の者なのかもしれない。本当にザップの命運を握ってるのかもしれない。どうしよう……


「貴族様、お願いです。早くザップをぶっ殺して下さい」


 アンちゃんが訳が判らない事を言う。あたしは振り返って彼女を見る。アンちゃんはベッドに座って深々と頭を下げている。そして頭を上げて口を開いた。


「私は契約でザップに縛られてているのです。あいつが死んだら私は自由になれます。そうしたら、どんな事でも貴方様の言う事を聞く事が出来ます」


 もしかして、アンちゃんは寝ぼけてるの?それとも誰かに操られてるのかも。


「どんな事でもか?」


「はい、どんな事でもです」


「ほう、そうか。では、私の奴隷達さえも嫌がってしてくれない、あんな事やこんな事もしてくれるのか?」


「はい、どんな事でも喜んで」


 間違いない、理由は判らないけど、アンちゃんはおかしくなってる。それにしても奴隷ですら嫌がる事って何なんだろう。1つ言えるのは、あいつは見た目だけじゃなく中身も腐ってる変態野郎だという事だ。


「うっひょーっ!待っておれ、すぐにザップとやらの首を持ってきてやる!」


 変態はそう言うと立ち上がり、部屋の扉に向かって駆け出す。そんな事はさせない!


 あたしは駆け出し、触りたくないけど変態の後頭部に手刀を叩き込む。


「フガッ」


 変な声を上げて変態は気を失った。


「マイ姉様、何やってるんですか?」


 アンちゃんがジト目であたしを見ている。


「えっ?」


「せっかくこの豚野郎を焚きつけてご主人様の所に案内させようと思ったのに……」


「ええーっ、それなら早く言ってよ!」


「何言ってるんですか?マイ姉様は演技クソ下手じゃないですか。言ったらばれてたに決まってるじゃないですか。しょうが無いですね。プランBで行きます。私が外で暴れるので、誰かを締め上げてご主人様の居場所を聞いて助け出して下さい。では、また後でっ!」


 そう言うとアンちゃんは窓に向かって走り出し突き破って外に出た。


 グオオオオオオオオーン!


 何かの叫び声が聞こえる。あたしが割れた窓から身を乗り出すと、ここは高い塔の最上階で、見下ろしたら地上には大きなドラゴンが天に向かって吠えている。アンちゃん、ドラゴンに変身したのか。でも大丈夫なの?やり過ぎじゃはないのかな?


 けど、これでしばらくは城の者はザップどころじゃ無くなるはず。


 あたしは部屋のドアを蹴破り、ザップを探しに駆け出した。 



読んでいただきありがとうございます。


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