脳筋大運動会 19
「それでは、初代脳筋女王に輝きました、マイ・グッドフェローさんに盛大な拍手を!」
「ぶぶっ!」
僕は息が詰まり、変な声がでる。危ねぇ、衆人環視の中、口からなにか吐き出しそうになった……
アナウンサーの声の後、万雷の拍手が辺りを包む。僕達は表彰台に立っている。かなりの人々に囲まれている。
「おい、マイ、いつから俺達は家族になったんだ?」
マイが僕の苗字を語ったってことは、マイはもしかして?
「えー、だって、あたし苗字ないし、一緒に住んでるからいいじゃん」
やっぱそんな所か……
「まあ、それならしょうがないか」
「え、じゃあ、ザップ!」
マイが真っ赤な顔でギュインと僕の方を向く。マイもこっぱずかしい表彰台で緊張してるのか?
「今日だけ特別に苗字を貸してやる。マイも俺と結婚してると思われても困るだろ。その代わり牛、少しは食べさせてくれよな」
「ザップのけち!」
マイはプイッと横を向く。何なんだ?
「うしー、うしー、うしー……」
リナはさっきからずっとこんな感じだ。さっさとゴールしたら良かったのに。
マイは1等賞の牛肉とトロフィー、リナは2等賞は豚肉、僕は3等賞で鶏肉を貰った。それ以下の者は参加賞に鶏の玉子を貰ってた。もっと筋肉つけろという意味か?
リナは大喜びで丸々の豚肉をパンツの収納にしまおうとしたので急いで止めて僕の収納に入れてやった。パンツから豚の死骸を取り出す様を考えたら、軽くホラーだ。
表彰式の後、軽くポルスティングス王からの言葉が少しあり閉会となった。ポルトは上機嫌だったけど、面倒くさそうなので目を合わせただけで会話は止めておいた。まぁ、少ない支出で森の掃除ができたから機嫌が良かったのだろう。
僕達はリナが念の為にスタートに設置してたワープポータルを使って、まだ鼻提灯を発動しながら寝てたアンを回収した。そのあとカイゼル髭の領主や魔物討伐に出てた騎士団も帰ってきて王都はお祭り騒ぎ状態になった。うん、王国って平和だな。
因みに、ラパン達メイド軍団はまだ帰って来ない。害虫だらけの迷宮を楽しんでるのだろう。しばらく王都を楽しんだあと僕達は帰途についた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「マイ姉様、脳筋女王おめでとうございます!それでは、カンパーイ!」
アンの音頭の下、僕達はジョッキをぶつけ合う。あれから3日経ってやっとメイド軍団が帰って来たので、景品の肉を使ってのマイの祝勝会だ。今回はマイが主役なので料理はマリアさん達に頼んだ。当然場所は『みみずくの横ばい亭』だ。
僕、マイ、アン、少女冒険者4人、『フール・オン・ザ・ヘル』の4人、足の生えた小さな蛇を抱っこした導師ジブル、ラパン、シャリー、ケイ、ピオンのメイド組、それと北の魔王リナに参加してなかったけど人魚ナディアと猫のモフちゃん。要はみんないる。何故か髭領主もだ。メイド組の妖精ミネアと忍者2号パイは働かされている。
「皆さん、ありがとうございます。けど、あたしの事を脳筋女王って呼んだ人は脳筋女王に相応しい方法をとりますので、明日からは慎んで下さい。では今日は無礼講で楽しみましょう!」
マイの言葉の後、みんなで料理とお酒を楽しんだ。もっとも、僕はお酒は1杯だけだったけど。しょうもない大会だったけど、景品の牛も豚も鶏も最高に美味しかった。
マイの目の前にあるトロフィーを見る。金色の拳の型で、なんとなく王都の大人しか入れないお店の中で見たものを連想したが伏せておく。来年もあるらしいが、絶対に僕は参加しない事を誓う。まあ、マイはチャンピオンなので強制参加らしいけど。
そして、夜が更けるまで僕達は仲間たちと楽しい一時を過ごした。
脳筋大運動会 おしまい
ただ突っ走る。そういう話が書きたくて突っ走ってみました。
読んでいただいた方本当にありがとうございます。
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