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 脳筋大運動会 18


「待っていたぞ!ザップ・グッドフェロー!」


 王都中央広場のゴール前に、ツインテールに金色のビキニアーマーの美少女、北の魔王リナ・アシュガルドが腕を組んで仁王立ちしている。

 広場には屋台が建ち並び、辺りはびっしりと人が集まっている。


 そうか、こいつは森を明後日の方に突っ切った後、何も考えず一直線に王都に向かったのであろう。

 森を色々ぶっぱなしながら、何も考えず木々をなぎ倒して駆け抜け、何も考えずゴールに向かう。


 間違いない。彼女こそが脳筋王。


 僕はそこまで純粋になれない。いろんな考えが足をひっぱる。流石だ。彼女こそが勝者に相応しい。うん、とっとと帰って飯食って寝よう。

 けど、こいつはゴールの前で何してるんだ?我こそは脳筋王だとドヤりたいのか?


「流石ね、リナちゃんが1等でゴールしたのね」


「ん、マイ、何を言ってる?わらわはまだゴールしてないぞ、ザップを倒してゴールしてこその勝利だ。と言うわけでザップ戦え!人が多いから今日の所は相撲で勘弁してやる!森人式ルールで、地面に背中をつくかギブアップした方が負けだ!」


 まさか、リナにまで格闘家デルの影響が?


「おい、待てぃ、お前が勝者だ。とっととゴールして牛を貰え!」


「何を言っている。そんな牛など食っても旨い訳がない。お前を倒して、勝利で味付けされた牛こそ最高の味!問答無用!行くぞっ!」


 正直勘弁してほしい。何が悲しくて衆人環視の中、美少女と相撲せなにゃならんのだ。晒し者、罰ゲーム、その手の類いでしか無い。


「ま、待てっ、リナっ!」


 僕はゴールの方を指差す。


「えー、じゃあ、牛さんいただきまーす!」


「え!ま、マイっ!卑怯だぞ、待てっ!」


 リナが振り返る。けど、時は既に遅し。


 僕達をすり抜けたマイが軽くぴょーんとジャンプしてゴールテープを切る。


「ああーっ!」


 悲痛の叫び声を上げるリナを僕は後ろから思いっきり押す。


「うわっとととっ」


 よし、リナ、ゴール。それでは僕も。


「おめでとうございます。これで1位2位3位ゴールイン」


 拡声の魔道具の声が響く。


 パン、パパン、パン!


 祝砲が鳴り響きレースの決着を告げた。

 やっと、終わった。蓋を開けてみたら3位だったけど、正直これで良かったと思う。流石に脳筋王は勘弁だ。


 魔道具を持ったアナウンサーの女性がやって来て僕達の名前を聞く。僕とリナはすぐに答え、マイはアナウンサーの手を引いて少し離れた所で話している。どうしたんだ?


「それでは1時間後、表彰式を行いますのでその時はあそこに来て下さい」


 アナウンサーは僕達3人を集めて、表彰台を指差す。金色の趣味が悪い台だ。ああ、やっぱ入賞しなければ良かった。晒し者だ。マイの顔が引きつってる。


 僕達はアナウンサーを後にし、そばにある運営のテントの椅子に座る。なんだかんだでとっても疲れた。次にはエルフのデルがゴールし、神官戦士のミカ、魔法使いのルル、戦士アンジュがそれに続く。そして、何故か人型に戻った導師ジブルが続き、冒険者パーティー『フール・オン・ザ・ヘル』の4人がゴールし、あとは誰も帰って来なかった。

 まあ、僕達以外はほとんどみんなスタートと同時に眠らされてたしたな。


 あと少しで1時間。金色の表彰台を見る。いっそのこと逃げるか?



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