脳筋大運動会 13
「混じっちゃった」
ヒドラの新しく再生した首は舌を出して、可愛さをアピールしている。
「うわっ、めっちゃ背が高くなったわ、遠くまで見えるわ」
新しい首は背伸びをする。蛇の体からジブルの上半身が生えたような形で、言わばラミアのような感じだ。ラミアを見たことは無いけど。
よく見ると全身は鱗に覆われていてジブルの顔もトカゲみたいで目が離れている。リザードマンみたいだ、正直キモイ。なんか凄まじい事になってるが、本人が気に入ってるみたいだからそっとしとこう。
「ザップ、あれどうするの?」
「ジブルを食べたらジブルになるのか……正直、俺の手には負えん。というわけで、みんな解散!」
僕は何も無かったと言うことにして先に進む事にした。
「何言ってるんですか?何、私を置いてこうとしてるんですか。今はなんか気分がいいんで、私の頭はちょうど6本あるからみんな乗せてってあげますよ」
トカゲ顔のジブルが微笑む?
さすがに少し疲れてきたのでジブルの提案は魅力的だけど遠慮しとく事にした。なぜならば……
「おい、お前、自分自身コントロール出来てないだろ」
1本のヒドラの首がジブルの首に噛みついている。他の首もジブルの方を見ていて狙っているようにしか見えない。
「大丈夫です、体に教え込みますから」
そして、ジブルとヒドラの残り5本の首の熾烈な戦いが始まった。
「マイ、行くか……」
「そうね……」
正直、訳が解らない。
「私達も、あれには関わりたくないっす」
疲れた目でアンジュは僕達を見る。
「それじゃ、王都に向かうから付いて来て」
エルフの野伏デルを先頭に僕達は森の中を走り始めた。
「もっと、走りやすい道ないのか?リナがなぎ倒した道とか」
僕はなんとか加速してデルの後ろにつく。
僕達は森の中を走っているのだけど、正直走りにくい。木はあるし、なんか蜘蛛の巣あったり、足元ぬるぬるしてたり、目の前にいきなり大岩があったり。エルフのデルはその中を全力疾走していく。僕らは森に慣れてる訳じゃないから、ついて行くだけでやっとだ。
「ザップ、リナさんが森の中でちゃんと方向が判ると思う?」
デルが振り返らずに話す。そうだその通りだ。間違いなくリナは明後日の方向に向かってるはず。
「危ない所だった。リナについていったらとんでもない所に行く所だった……」
「所で、なんで私達一緒に仲良く走ってるんすか?」
後ろからアンジュの声がする。
「そりゃ、仲良き事は美しきかなって誰か言ってるじゃない」
僕の隣でマイが口を開く。うん、その通りだ。
「そうよ、私達はザップに勝つためにレースに出たんだった」
振り返ったデルが僕にいきなり殴りかかる。辛うじてかわすが、次はアンジュの蹴りが僕に襲いかかる。
「ザップ、成長したあたしたちを見せてやるっす!」
僕を少女冒険者4人が囲む。なんでいつもこうなるのだろうか?
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