表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

530/2101

 脳筋大運動会 7


「ザップ、来て、道があるわ」


 マイの言葉に足を止め、そっちに向かう。森の中は正直走りにくい。僕達は結構奥に入り込み、道なき道を進んでいる。障害物が多く、思ってるように速度が出ない。このままじゃ先に行った者達に追いつけない。正直追いつかなくてもいいような気もするが、なんかやたらマイが張り切ってる。こりゃ頑張るしかないか……

 またさっきみたいに『絶剣山殺し』で整地しながら進もうと考え始めた所だけど、道があるならそれを進むにこしたことはない。


「これって道なのか?」


 まるで何かが走り抜けたみたいに木々がなぎ倒されていて、ちょうど人1人走り抜けたようにぽっかり空白が森の奥に続いている。


「木があるのを強引に誰か走ってったみたいね」


 なぎ倒されてる木の断面はみずみずしく、ついさっき倒されたみたいだ。森の中を木を気にせず走り抜けるような脳筋のお馬鹿は1人しか思い浮かばない。僕じゃないとすれば、北の魔王リナに違いない。


『リナ・アシュガルド』


 北の国アシュガルドの魔族を束ねる女王だと本人は言っている。もっともアシュガルドには行った事はないのでその真偽はわからないが、その戦闘能力は折り紙つきだ。


 その道には、よく見ると複数の足跡があり、リナが切り開いたであろう道をその後を何人も通り抜けたように見える。僕達も有難くそれを利用させて貰うことにする。


 しばらく走ると、道はいきなり広くなった。僕が裕に両手を広げたくらいの大きさになり、まるで空間を何かが削り取ったみたいに遠くまで森に丸い穴が空いている。


「こりゃ多分ここでリナは面倒くさくなって魔王砲を放ったんだろうな」


「相変わらず凄まじい威力ね」


 魔王砲を打ったあとの道を倒れた木が塞ぎそれにもまた魔王砲を何回か打って道をならしたみたいだ。なんというか、激戦が繰り広げられた跡みたいで、かなり凄惨だ。人のやったことを見て僕は反省する。やっぱ自然は大切にするべきだな。

 

 走りやすくなった道をかっとばして行くと、木が生えていないちょっとした広場に出た。そこでは何者かが争っている。メイド服を着た女の子2人だ。

 1人は猫耳の女の子ケイ、もう1人は忍者ピオンだ。ピオンはいつもの黒装束じゃないから一瞬誰かわからなかった。


「マイ、すこし迂回して、ばれないようにやりすごそう」


 僕は小声でマイに言う。マイは頷き、僕らは出来るだけ音を立てずに森に入り、若干進んで道に戻る。そして走り出すが、後ろからピオン達が追っかけて来た。あいつら喧嘩してたと思ってたのに、僕をみて共闘する事にしたみたいだ。


「ザップ、待って、私達と戦え!」


 後ろからピオンの声がするが、僕とマイは気にせず走り出した。戦う理由が無い。なんでみんなそんなに僕と戦いたがるのだろうか?


 全力で走る僕達の前に、背を向けて走るメイド服の女の子が2人見える。その2人は立ち止まり振り返る。


「ザップ。もう追いついてきたの?」


「ラパン、やめとこ、負ける未来しかみえないわ」


「ザップ。追いついた」


「ザップさん、胸を借ります」


 ラパン、シャリー、ピオン、ケイ。メイド服の少女達に僕達は囲まれた。少しロマンを感じてしまう。けど、そう言えば、なんで彼女たちはメイド服着てるんだろうか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ