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 脳筋大運動会 6


「マイ、そういえばスタート地点で寝てる奴らに知り合いいたか?」


 僕はクソデカい大剣で道を切り開きながら口を開く。みるみる景色が流れていく。全力疾走しながらだ。


「多分見たところ居なかったわ。アンちゃん以外」


「という事は相手は全員あらかじめ打ち合わせしてたという事か」


 さっきの強力な睡眠魔法は何らかの対抗魔法をかけて無いとレジスト出来ないだろう。それが可能な者と言えば、元大神官のシャリーしか思い浮かばない。奴が僕達以外に加護の魔法をかけていたと思われる。

 最悪知り合い全員一辺に相手する事になるかもしれない。そうなると流石にぶちのめせる気がしない。


 ガキーーーン!


 横薙ぎにし僕の大剣が何か固いものに阻まれる。岩山でも引っかかったか?


「ザップさん、覚悟ーーーっ!」


 可愛いらしい女性の声がして、前方から白銀色の塊が近付いてくる。僕は立ち止まり長い大剣を収納にしまう。僕の剣を止めるとは中々の実力者だな。

 その後ろから更に銀色の塊と黒い塊も近付いてくる。白銀色と銀色のフルプレートメイルの騎士2人と、何故かタンクトップの肌の黒いマッスル1人だ。そして空から子供のような影が飛び降りてくる。もう誰かは解った。

 銀色と白銀色の騎士が兜のバイザーを上げる。王都現役最強冒険者パーティー『地獄の愚者フール・オン・ザ・ヘル』の4人、戦士デュパン、女性聖騎士ジニー、吟遊詩人パムと死霊術士レリーフだ。森を突っ切るのにフルプレートメイル装備とかこいつら頭大丈夫なのか?


「ザップさん、貴方を『地獄の愚者フール・オン・ザ・ヘル』が乗り越える」


 銀色の鎧の騎士デュパンが僕をビシッと指差して声を張る。


「ちょっとその前に聞いてもいいか? 俺達が参加してるのって競争だよな。鎧着てない方が走るの速くないか? それにスタートの時は全身鎧の人間居なかったと思うが?」


 僕は素朴で当たり前な疑問を口にする。


「そんなの、鎧はおいらが収納で運んで、森に入った所で装備したんだよ」


 無邪気に笑いながら子供族のパムが答える。奴には僕の気の迷いで僕の収納スキルを貸し出している。


「だから、なんで鎧?」


「それは、ザップさんと戦うためよ」


 聖騎士ジニーはそう言うと兜のバイザーを下げ、大盾と剣を構える。


「だから、なんで戦うの?」


「それは、俺達の成長をザップさんに見て貰うため。あわよくば勝ちをもぎ取るため!」


 デュパンもバイザーを下げ担いだバスタードソードを構える。


「私の術も成長しました。出でよジャイアントスケルトン!」


 レリーフが印を組み、地中から巨大なスケルトンが這い出してくる。身の丈5メートルはありそうだ。けどレリーフにとってそのでっかいスケルトンはただのでっかい鈍器なのだろう。奴も脳筋仲間だからな。


「ザップ、この人達なんか勘違いし過ぎじゃない」


 まぁ、マイは当然こいつらのアホさ加減には気がついてるみたいだ。


「デュパン、俺達が参加してるのは?」


「徒競走?」


 何言ってるのか解らないのか、デュパンは小首をかしげる。


「どうやったら勝ちなのか」


「早くゴールしたら?」


 デュパンは広げた左手を右の拳で叩く。やっと僕の言いたい事がデュパンは解ったみたいだ。けど、フルフェイスヘルムは大変だなオーバーアクションじゃないとジェスチャーが伝わらないんだな。


「じゃ、行くかマイ」


「そうね」


 僕とマイは神速でデュパン達の横を駆け抜ける。戦ってたまるか。時間の無駄だ。


「えー、ザップさん戦って下さーい! 楽しみにしてたのにー!」


 ジニーの叫びが聞こえる。悪いが、女の子の願いでもそれは願い下げだ。


「おい、鎧脱いで追いかけるぞ」


 後ろでデュパンの声がする。フルプレートって脱ぐの時間かかるんだよね。


「パム、行くぞ」


「デュパン、後で迎えに来る」


 レリーフとパムが追っかけてくる。中々速いな。


「ほーら、ご褒美だ」


 ドガガガガガガガガッ


 収納に入れたさっき刈ってた木を大量に後ろにばら撒く。ダークエルフも子供族ホップも森を愛する生き物だから大量の木にまみれて満足したはずだ。



 僕達はひた走るけど、追ってくる者はいない。




 『地獄の愚者フール・オン・ザ・ヘル』リタイア!

 

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