第五十二話 荷物持ち少し後悔する
すみません。ここ数話、本当に時間がなかったので、あとで修正すると思います。
「ザップ、そういえば、ゴブリン達ってお金持ってなかったのかな?」
マイが僕に問いかける。そうだ、その通りだ。結構いい装備のゴブリン達が多かったので、それを剥いで捨て値で売ってもお金になったはずだし、あの規模だからどっかに金品も蓄えてたに違いない。
それに、ザナドゥ達に頼もうと思ってた事もすっかり忘れていた。彼らは名の通った冒険者だ。彼らに後見人としてついて来てもらって街に入ろうと思ってたんだった。
ちなみに僕達は村を出て、あてもなく歩いている。無計画かもしれないが、久しぶりの地上だ。急ぐ必要も今の所無いので、ゆっくりいろいろ見て回りたい。ありふれた普通の大地や草木さえも懐かしい。
「それに、村からもなんか少しくらい貰ってもよかったんじゃない?」
「いや、お金無さそうだったし、家も壊れたりしてたから大変そうだったしな」
そうはいうものの。それでも服くらいは貰ってもよかった気がする。髭も剃らして貰えばよかった。今の格好のままでどっかいったら、猿人間に次ぐ不名誉なあだ名がまた増えそうだ。
「まあね、冒険者ギルドにさえ行けたら、素材とかを買い取ってもらってお金になるもんね」
「けど、街に入るのにお金がいるしな……」
そうなのだ。街に入ればお金が手に入る。けど入るのにお金がかかる。そのお金をどうにかしないとだ。
引き返そうかと思ったが、また戻るのもな、ゴブリンの死骸を漁るのもなんか気がすすまないしな……
もしかしたら、何かあって運良く中に入れるかもしれないので、僕達は街へ行ってみることにする。
「肉、肉……お腹が減って死にそうです。」
歩き始めてしばし、アイが悲痛の表情で立ち止まる。
「すみません、ドラゴンに二回も戻ったので、お腹が空きすぎて動けないですぅ……」
アイはふらふらとその場に座り込む。しょうが無いな。そうだな、肉いっぱい食わせてやるって言ったし。ちょうどお腹がへったので、食事にする事にする。恒例の斧焼き肉だ。
「お前、ゴブリンは食べないのか?」
僕は疑問を口にする。ドラゴンって何でも食べそうだしな。
「ご主人様、私はこれでも獣では無く知的な生物なのですよ、一応知能があるものは食べないのですよ」
ゴブリンとかを食わせて食費を浮かせようと思ったけど無理だったか。これからはしっかりドラゴンになることを管理しないと食料不足に陥ってしまう。いつもの事ながら、アイの食事の量は半端なかった。この体のどこに入っているのだろう。
格好つけて村を出たまではよかったが、今日も野宿だな。ふかふかのベッドで寝られるのは何時のことだろう。そんなことなど考えながら、美味しく焼き肉をいただいた。