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 ドラゴンの秘密


「それで、アンちゃんは昨日は何処に行ってたの?ご飯も食べないで」


 マイが起きてきたドラゴンの化身アンに言葉を投げかける。アンはマイから目を逸らす。

 昨日はマイと二人っきりのデート、もとい冒険者ギルドの依頼を受けていて、帰って来てもアンは居なく、しかも深夜になっても帰って来なかった。

 マイが魔法の収納の発展能力の遠話の魔道具スマホで連絡してもアンはでなかった。マイはとっても心配してたけど、僕は用事が有るって聞いていたのと、奴はドラゴンなので大丈夫だろうと思い、なんとかマイをなだめすかせて寝かしつけた。

 そして朝起きたらいつの間にか奴は帰って来てた。


「いや、別にいいだろう。アンが何処にいっても。子供じゃないんだから」


 僕は本から目を離し、マイに言う。どうせしょうもない事だろう。聞いたら巻き込まれる可能性がある。それはなんとしても避けたい。


「ザップ、ザップは黙ってて。確かに子供じゃないけど、中身は子供以下だと思うわ。子供だって外を裸でうろつかないわ」


 マイは立ち上がると瞬時でアンの前に立ち、奴の胸とお尻に手を伸ばす。アンの服にマイの手が埋もれる。


「見て、ザップ。魔法の服だけで今日も全裸よ、昨日も一昨日も毎日毎日全裸よ!」


「マイ姉様だって下着だけの時有るじゃないですか!」


「あたしは下着着てるから!」


「そもそも私はドラゴンですよ、考えて下さい、ドラゴンがパンツとブラジャーしてる所を。おかしいでしょ、そんなドラゴンいたら変態にしか見えないでしょ?」


「けど、アンちゃんは見た目は可愛い女の子よ、それが幻の服だけでうろつくっておかしいでしょ?ザップ、何とか言って!」


「ご主人様!」


 2人は僕を見つめる。ジャッジしろという事か?

 それにしても黙ってって言ったかと思うとなんか言えって、ヒートアップした女の子って不条理だな。まぁ、振り回されてもしょうがないなで終わってしまうヘタレな僕ではあるが。


「解った。マイは下着をつけさせたい。アンは下着をつけたくない。それならこうしよう。中とって下着は半分つける。という訳でアン、パンツは絶対穿け、野宿したときにお尻になんか入ってきたりするぞ」


 ここは、裸生活が長かった先輩としてアドバイスするべきだろう。パンツは大事だ。寝てたら虫が入ってきたりする事もある。『原始の迷宮』にいた時はパンツに恋い焦がれたものだ。


「うん、パンツ穿く」


 アンは素直に頷いた。


 僕達はとっても頭悪く見える事だろう。大の大人がパンツを穿くという人として当然の行為を教育してるのだから。


 マイがそばに来て僕に耳打ちする。


「次はブラジャーね。さすがねザップ。あんなにパンツ穿きたがらなかったアンちゃんを説得するなんて。けど、女の子の前でなんて話してるのよ、このスカポンタン、変態!」


 マイの声は尻上がりに大きくなり、『変態』という言葉が僕の胸に激しく刺さった。


 マイに『変態』って言われた。体験談を話しただけなのに……


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