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 小手返し

 リゼロ再開してますよ!皆さんレッツゴーですー!


「ていやぁっ!」


 忍者パイが宙を舞う。投げたのは小柄な方の忍者ピオンだ。パイは地面に背中から落ち、その顔にピオンの足が伸び顔擦れ擦れに大地を踏みしだく。外れたのではない。外したのだ。


「ま、参った……」


 パイの口から声が絞り出される。


 ここは僕の家の前の庭。新しく仲間になったパイが、ピオンと久しぶりに手合わせするとの事で僕らは野次馬だ。あと野次馬は2人、マイとドラゴンの化身アンだ。


「あたしの所からは、ピオンが何したのか見えなかったわ。よかったらさっきのをゆっくり再現してくれない?」


 ピオンがパイに手を貸して立ち上がらせている所にマイが話しかける。ちょうど僕もお願いしたいと思ってた所だ。僕はパイが投げられる所を見てはいたのだがピオンが手を握って投げたという事しか解らなかった。


「えー、わたしまた投げられるのー?ピオン、今度は投げられてよ」


「いいけど、パイ、小手返し苦手じゃ?」


「う、そう言われたらそうね。じゃ、ピオンよろしく。痛くしないでね」


「善処する」


 なんて言うか、無口なピオンの友達がやって来て良かった。あんまりピオンは他の女の子と絡まないから、少し心配してた。ピオンは大事な補助職だからな。僕の仲間は脳筋バトルジャンキーばかりだから貴重な人材だ。


 ピオンとパイは向かい合い、さっきの戦いをゆっくりと再現し始めた。パイの右手の中段突きをピオンは左手で受けながらパイの背中側に回りながら左足でパイの脇腹に蹴りを入れた。すごい、重心がかかった方の足で蹴りを入れている。そしてパイの右手を捻りながら右手も添えて投げる。投げるというよりも後ろに倒したような形だ。ゆっくりして貰っても何でピオンが投げられるのか解らない。


「むぅ、それが小手返しって技なのか?良かったら俺に教えてくれないか?」


「ザップの頼みなら聞く。けど、ザップ、不器用。仕組みを覚えて何度も練習しろ」


 ピオンにしては長い言葉だ。けど、不器用は傷つく。本当だけど……


「右手なら相手の左手、左手なら相手の右手を自分の親指を下にして手の甲に親指を当てるように掴む」


「えー、またわたし!それ結構痛いのよ」


 ブーブー言うパイの右手をピオンが左手で掴む。


「そして手に力を入れて相手の肘を直角に曲げながら相手の手を手のある方の斜め後ろにに向かって捻りあげる。そして、もう片方の手を添えて、相手の背中の先くらいに力を入れて落としたら自然に相手が転がる」


 パイが苦痛に顔を歪めながら、また転がされる。


「コツは、相手が手首に力を入れたらかからないので、一撃入れて脱力した所で一気に手首を捻って手首に力を入れられなくする事と、相手の肘の角度が垂直に近付くほど相手の力が入らなくなるので上手く調節する事。それと、相手の逆の手は空いてるから、その攻撃範囲に入らない事。慣れたらこんな事も出来る」


 ピオンは片手で今度はパイを転がした。


「複雑すぎて、私には難しそうですね」


 アンはそう言ってるが、奴は僕よりは器用だ。


「こんな感じ?」


「へぶっ!」


 マイがアンを投げる。器用過ぎるだろ。もうマスターしたのか……


「おい、パム、レリーフ今すぐ来い!」


 僕は魔法の収納のスキルの内の1つ遠話を可能とする魔道具、スマホで格闘仲間を呼び出した。


「ピオン、すまんがしばらくみっちりトレーニングに付き合ってくれ」


「いいよ」


 それから僕達はトレーニングし続けたが、理屈は解ったけど、実戦で使えるようにはまだまだ時間がかかりそうだ。


 格闘技の道は険しいな……



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