第五十話 荷物持ちとゴブリン王
「ぶきをすてないと、こいつらはころすだろう」
ゴブリン王が大声で宣う。『こいつらをころす』と言いたいのだと思う。あと少しだけ語学習得に精を出して欲しいものだ。『だろう』という言葉が好きなのか?
「わかりました! その人たちの首を刎ねたら、すぐに武器を捨てますよ! クスクス」
アイがお腹を押さえて笑いをもらしながら言葉を返す。
どうやらゴブリン王語はつぼらしい。けど、冗談でも物騒な事を言わないで欲しいものだ。
「ザップ! 待ってくれ! 殺さないでくれ!」
ザナドゥが叫ぶ。お馬鹿なのか? 人質はそう簡単に殺さないって。死体になったら無価値だからな。
「わかっただろう。すぐくびをはねたりする」
ほう、はねたりするとは、他にもなにか面白い事でもしてくれるのだろうか? それに、人質殺したらダメだろう。やれやれだな。
ここで、王の所にローブを纏ったゴブリンが駆けてきて耳打ちする。
「だまされたかもしれない。くびははねないだろう」
そうか、王はお馬鹿なのか。それで、ローブを着た奴が参謀かなにかなんだな。
「クギュル、グギャ、グキャ、キー!」
王が猿のような奇声を発する。あいつらこそ猿人間だろう。僕は子供達からああいう風に見えてるのか? 少し悲しい。
多分なんか命令だったのだろう。二匹のゴブリンが頷いて、捕虜の方に駆けていく。
一匹のゴブリンがザナドゥを地面に突き倒して、それをごついもう一匹のゴブリンが刺のついた鞭で叩き始める。
「ギャーッ! 痛い! ウギャー! 助けてくれ!」
ザナドゥはのたうちまわりながら叫ぶ。ゴブリン達は激しいリアクションに満足げだ。その服が破け裂けた素肌が晒される。
誰得なのだろうか。せめて、女性の二人のどちらかを選ぶべきだろう。まあ、僕はそんな趣味は無いが。
ザナドゥが反応がいいから選ばれたんだと思うけど、そいつは僕の宿敵なんですけど……
「こいつをたすけたいときは、すぐにぶきをすてるだろう」
なんかゴブリン王と話すのも面倒くさくなってきた。微妙に言いたい事がわかるのがしゃくに障る。
「それじゃ無理だ! 武器を捨ててほしいなら、もっと死なない程度に責め立てろ」
もう少し個人的にザナドゥは痛い目に遭って良いだろう。
「ヒェーッ! 止めてくれ! 助けてくれ!」
ザナドゥが叫ぶ。ことのほか元気だな。
「わかっただろう!」
ゴブリン王は部下に指示を出す。
「ギャアーーーーッ!」
激しくなった責め苦にザナドゥの悲鳴が響き渡る。
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最弱最強聖女《最強の竜戦士、超絶美少女聖女に変身する》
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